県内名字ランキング
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 国内には10万以上の名字が存在する。その由来は地名や地形、職業など多岐にわたるが、名字の歴史や分布を読み解くと、地域の特徴が見えてくる。姓氏研究家としてテレビなどで活躍する森岡浩さんが昨年出版した「群馬県の名字」(上毛新聞社刊)を基に、群馬の多彩な名字に目を向け、特徴を探った。

 同書のランキングによると、県内最多は「高橋」。全国でも3位と多いが、都道府県別で1位なのは群馬県と愛媛県だけだ。前橋市や高崎市、伊勢崎市といった県央をはじめ、東毛の千代田町、北毛のみなかみ町など県内全域に分布する。2位の「小林」は長野県に多く、群馬県では特に北毛で目立つ。全国最多の「佐藤」は県内では3位となっている。

■「新井さん」4位

 森岡さんが群馬県の特徴として指摘するのが、全国99位の「新井」が県内では4位に入ることだ。都道府県別で10位以内に入るのも群馬県と埼玉県(8位)のみ。5位の「斎藤」(斉藤は除く)も広く分布し、特に甘楽、神流両町に多い。

 県内の上位30のうち、全国上位100に入っていないのは「星野」「関口」「金井」「萩原」「飯塚」「須藤」の六つ。新井と同様に県内には多いものの、全国的にはそれほど多くない名字の代表格といえる。

 一方、県内順位が全国順位を下回ったのは、県内のトップ30の中では佐藤に加えて「鈴木」「田中」「山田」「渡辺」「中村」「松本」「加藤」「山口」の九つだった。

■読み方に「らしさ」

 読み方にも群馬県らしさがにじみ出る。森岡さんは、同じ2文字を使う「茂木(もてぎ)」が40位、「茂木(もぎ)」が41位とほぼ同数存在することや、「小暮(こぐれ)」(101位)と「木暮(こぐれ)」(108位)、「木暮(きぐれ)」(246位)の存在、他県では「かくだ」や「すみだ」などと読む「角田(つのだ)」(44位)の多さを指摘する。

 県内トップの「高橋」が町内でも最多の千代田では、町長と町議会議長も高橋姓だ。高橋純一町長は「同姓が多いので、地元では下の名前で呼ばれる。町長になった今も、多くの町民に『純ちゃん』と親しみを持って呼んでもらえるのは、高橋姓のおかげだと思っている」と話す。

 森岡さんは群馬県の名字の特徴について、(1)古代豪族が栄えた地域で古い由緒を持つ一族が多い(2)関東の他県と比べてベッドタウン化されていない―ことなどを指摘。「群馬県は関東の中ではやや変わった名字分布で、バラエティーにも富んでいる」としている。

◎珍しい名字は地名がルーツ

 森岡浩さんの著書「群馬県の名字」は、珍しい名字も紹介している。蟻川(ありかわ)、伊能(いよく)、小此木(おこのぎ)、女屋(おなや)、香林(こうばやし)、対比地(ついひじ)、後閑(ごかん)などは難しい読み方の地名がルーツになっており、県内では認知されていても、県外の人にはなかなか読めない。

 難読の名字はこのほか、善知鳥(うとう)、大朏(おおつき)、七五三木(しめぎ)、城聞(じょうぎく)、太古前(たこまえ)などがある。これらは由来が語り継がれているが、森岡さんは難読名字の中には由来が忘れられてしまうケースがあるとし、「珍しい名字こそ、先祖の思いを子孫に伝えてほしい」と指摘している。(関口健太郎)

3/17(日) 6:02配信
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