https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POKK5J6K50XS01?srnd=cojp-v2

NZ銃乱射テロの動画、トルコ大統領が選挙集会で利用−地方選を前に

Baris Balci
2019年3月19日 2:16 JST
ニュージーランド、クライストチャーチのイスラム教モスク(礼拝所)で起きた銃乱射テロの映像が、トルコの選挙戦で利用された。フェイスブックやユーチューブ、他のソーシャルメディアのプラットフォームから削除された動画だ。

  トルコのエルドアン大統領は今月31日の地方選を前に開催した選挙集会で、今回のモスク銃撃事件の断片映像を編集したものを画面に映し出した。自身の基盤であるイスラム教保守層を扇動する意図があったことは明白だ。同大統領はイスタンブールやテキルダーなどでの集会で、ブレントン・タラント容疑者がインターネットに公表した犯行声明や、生中継された銃撃の動画の断片を、不鮮明な画質で流した。集会の模様はテレビ中継された。クライストチャーチの事件では50人が犠牲になった。

  エルドアン大統領は、同容疑者が「トルコと私を標的にした」と発言。容疑者は声明の中で、トルコを名指しでののしっていた。大統領はその後、主要野党、共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首が映った動画を聴衆に見せながら、同党首が「イスラム世界に根付いたテロ」について語っていたと批判、攻撃の矛先を野党に向けた。

  CHPのスポークスマンは17日、多くの犠牲者を出した銃乱射テロをエルドアン大統領が政争の具にしようとしていると非難。「あともう数票を得るために、今回の血なまぐさい殺りくの映像を見せる価値があるだろうか」と述べた。トルコのアナドル通信が伝えた。