2019年3月19日 17:00

会計検査院は19日、医療機関が保険者に請求する診療報酬の審査に不適切な例があるとして厚生労働省に改善を求めた。問題が指摘されたのは都道府県ごとに設置された国民健康保険団体連合会(国保連)による審査。一部でコンピューターを活用した診療報酬明細書(レセプト)の自動審査を省略し、不適切と疑われる請求を見抜けていない実態を確認した。

医療機関は患者を診療した後に審査機関にレセプトを送り、審査が通れば保険者から診療報酬を受け取る。審査する機関の1つが国保連だ。国保を運営する自治体などが都道府県ごとに設置しており、国保向けの請求を審査している。不適切な請求があれば減額などを判断する。

会計検査院は25の国保連が2018年4月に審査したレセプトを調査した。その結果、抗がん剤などとりわけ安全管理が必要な医薬品が投与される患者を指導する際の医療費で、コンピューターによる審査を省略している国保連が7つあった。

レセプトに薬剤の名称が明記されていない場合、コンピューターが自動的に抽出し人の目による審査に移す。だがコンピューターによる審査が省略されていたため、薬剤の名称が記載されていないのに、不適切な疑いがあると判断できなかった国保連が3つあった。

こうした事例が出るのは各国保連で審査基準に差異があるため。コンピューターによる審査ルールは5136あるが、どのルールを採用するかは各国保連が決めている。すべての国保連が採用しているルールは770にとどまる。5136すべてのルールを採用している国保連はゼロだった。

会計検査院は「審査が省略されていて、減額になる可能性があるのに十分な審査が実施されていない」と指摘。厚労省に対して「全国保連で統一的なコンピューター審査が行われるよう検討する」ことなどを求めた。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO42650680Z10C19A3EE8000