2019年3月18日 15:55 JST
日本銀行は4月末に2021年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前年比の見通しを新たに示すが、物価目標として掲げる2%を達成するのは21年度も厳しいとの見方が日銀内の一部で出ている。複数の関係者への取材で明らかになった。

  日銀は4月24、25両日の金融政策決定会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、見通し期間を1年延長し21年度までの経済、物価見通しを示す。複数の関係者によると、21年度の物価見通しについてはまだ正式な議論が始まっていないが、日銀内の一部の関係者は、物価が上がりにくい状況が続いていることから21年度も2%に達するのは難しいとみている。

 日銀は13年4月、黒田東彦総裁の下で、約2年を念頭に2%の物価目標の達成を目指すとして異次元緩和を開始。累次の追加緩和を行ったが、足元の物価上昇率は1%に満たず目標は遠い。達成時期は6回先送りされ、昨年4月に公表自体を取りやめた。超低金利政策が長期化する中、金融機関経営への影響など副作用が累積しており、異次元緩和への批判的な声が強まる可能性もある。

  麻生太郎財務相は12日の国会答弁で、2%物価目標は「もう少し考えを柔軟にやってもおかしくないのではないか」と言明。15日の記者会見では「2%にこだわり過ぎると、そちらの方がおかしくなる点は考えておかねばならない」と述べた。日本商工会議所の三村明夫会頭は7日のインタビューで、「弊害もいろいろ出てきている」として、2%にこだわらずより柔軟な政策運営を行うべきだとの考えを示した。

  黒田総裁は15日の記者会見で、2%物価目標を「変更する必要があるとか、変更することが好ましいとは思っていない」との考えを表明。一方で、達成時期については「長期にわたる低成長やデフレの経験などを踏まえると、物価上昇率が高まるには相応の時間かかる可能性がある」との見方を示した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJR7F6TTDS101