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除染土の再生利用「国民への情報発信が不十分」 専門家会議
2019年3月19日 23時59分

福島県内の除染で出た土を全国で再生利用する国の方針について、専門家が話し合う会議が開かれ、出席者から、国民への情報発信が不十分だなどという意見が相次ぎました。

福島県内の除染で出た土について、環境省は、2045年までに福島県外に運び出して最終処分するとしていて、その量を減らすため、放射性物質の濃度が一定の基準を下回ったものを全国の公共工事などで再生利用する方針です。

環境省は、福島県の南相馬市と飯舘村で安全性を確認するための実証事業を進めていて、19日に都内で開かれた専門家の検討会で、その現状を報告しました。

それによりますと、南相馬市で行っている実証事業では、事業の開始前と、除染で出た土を使って盛り土を築いたあとを比べても、周辺の空間の放射線量や大気中の放射性物質の濃度に大きな変化がなかったということです。

検討会では、住民への周知についても取り上げられ、専門家からは「技術的な安全性は理解できるが、どのように国民に理解してもらうかが課題だ」という意見や、「情報発信が不十分で、理解の醸成をどう図るか具体的に検討すべきだ」という意見が出ました。

検討会の座長を務める東京農工大学大学院の細見正明教授は「環境省は自治体や教育機関と連携して、再生利用について多くの国民が知る機会を増やしていく必要がある」と話していました。