40〜50代の女性のヌード写真を撮り続けているカメラマンがいる。大阪市西区の中田しのぶさん(52)。乳がんの手術を控えた女性の撮影をきっかけに、これまで約200人の姿をファインダー越しに見つめてきた。初となる写真展を大阪で開催しているほか、今秋には米ニューヨークでも開く予定。「女性たちのありのままの美しさを感じ取ってほしい」と語っている。(江森梓)

 波打ち際に寝そべる女性、シーツの上に横たわる女性…。いずれも裸だが、屈託のない笑顔を浮かべている。「40〜50代の女性は人生の経験を積んで、内面の美しさがにじみ出る年代なんです」と説明する。

 きっかけは12年前に、乳がんを患い、乳房の切除手術を控えた大阪市都島区の飲食店経営、駒井玲子さん(57)を知人から紹介されたことだった。「女性としての証しを残したい」と駒井さんからヌード写真の撮影を依頼された。

 もともと結婚式場で婚礼写真の撮影を中心に手がけていた。ヌード撮影は初めてで、「駒井さんの思いを受け止め切れるのだろうか」と迷いもあったが、レンズを向けるうちに、駒井さんの姿が神々しく輝いて見え、涙が止まらなかった。「手術を控えながらも生きることを決め、前を向いて歩こうという女性の美しさだったのかもしれません」

 駒井さんは無事に手術を終え、今でも交流が続く。「写真は、今まで見たことのないような自分でした。ありのままの自分でいいんだと思え、自分が大好きになれました」と駒井さんは振り返る。

 その後、中田さんの写真は口コミなどで評判は広まり、多くの女性から撮影を依頼されるように。駒井さんのように乳がんの手術を控えていたり、子育てが一段落して「自分の人生を見つめ直したい」と考えたりと事情はさまざまだが、何度もシャッターを切るうちに女性らは自信のある明るい表情を見せるようになるという。

 さまざまな人に女性の持つ本来の美しさを知ってほしいと、中田さんは写真展の開催を決めた。大阪をスタートに今秋は米ニューヨーク、来年初めには東京をめぐる予定。中田さんは「ヌード写真を通じてもう一度自分を愛し直してもらい、女性の未来を輝かせるきっかけにしたい」と話している。



 写真展会場は大阪市北区天神橋のフジハラビル。無料。24日まで。正午〜午後8時(24日は午後5時まで)。

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