https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47579604

デスメタルのファンは優しい、かきたてられるのは暴力性ではなく喜び=豪研究
2019年03月27日

ヴィクトリア・ジル、BBCニュース科学担当編集委員

I've had one desire since I was born; to see my body ripped and torn(生まれたときから願いはひとつ この身体が引きちぎられるのが見たいと)

デスメタルバンド「ブラッドバス」(Bloodbath=大流血、虐殺)の「Eaten(直訳:食べられた)」の歌詞は、カニバリズム(食人)をテーマにしている。そこに想像の余地はあまりない。

しかしこの「Eaten」を聴いても、他のデスメタルの気味の悪い歌詞を聴いても、聴き手はそのせいで暴力的になったりにしない――。豪マカーリー大学の音楽研究所はこの曲を使った心理的実験で、そう結論している。

王立協会の学術誌「オープン・サイエンス」で発表されたこの研究では、デスメタルのファンだからといって暴力的表現に「鈍感になる」ことはないという。
シドニーにある同大学のビル・トンプソン教授は、「デスメタルのファンは良い人たちで、わざわざ出かけていって人を傷つけたりしない」と話した。
トンプソン教授らは長年、音楽が感情に与える影響を研究しており、今回の研究もその一環だ。こうした影響は、複雑なものだと教授は説明した。
「悲しい音楽が好きな人は多い。これはいささか、矛盾しているように思える現象だ。なぜ私たちはわざわざ好んで、悲しい気持ちになりたがるのか」

「同じことが攻撃的な、あるいは暴力的な音楽についても言える。これは心理的な逆説で、科学者として興味深いと同時に、メディアにおける暴力表現が社会的に大きな問題だということも認識している」

暴力への感受性を測る
(リンク先に続きあり)

https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/9C7B/production/_105995004_mediaitem105995003.jpg