日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の弁護人が9日、日本外国特派員協会で会見を開き、前会長自らが一連の事件に関して訴えた動画を公開した。ゴーン前会長は動画で「今回のことは単に事件ではなく、陰謀である」と述べた。

動画は、ゴーン前会長が4日に会社法違反(特別背任)容疑で東京地検特捜部から再逮捕される前に、英語で収録された。

ゴーン前会長は、まず、「すべての嫌疑について私は無実」と主張。その上で事件ではなく、陰謀であるとの見解を示し「強欲、謀略、中傷であり、恐れから起きた」と語った。

日産社内の一部の人たちの恐れについて、ゴーン前会長は「(ルノーと日産の)連合が統合、合併に進むことが、ある人たちに脅威を与えた」と説明。「日産の独立性を脅かされ、自分勝手な恐れから数名の幹部がたくらんだ事件だ」との認識を強調した。

さらに「日産の業績は明らかに下がっており、未来のビジョンなく心配している」とも述べ、現経営陣を批判した。

裁判のあり方にも批判が及び、ゴーン前会長は「裁判の公正性について、安心材料を提供してもらえていない」と述べた。

動画の公開後、弘中弁護士は今回の検察側の再逮捕が「ゴーン前会長に不当な圧力をかけ、屈服させることを目的にしたもの」と強く批判。「10日に最高裁に特別抗告する」と語った。

弘中弁護士は、今回の動画公開について「検察の妨害で会見できなくなることを懸念し、逮捕前に動画を準備した」とし、「動画は11日予定の会見ができなくなったために公開を決めた」と語った。また、「逮捕前に動画を収録したので、ゴーン前会長はオマーンルート事件には触れていない」と説明した。

ゴーン容疑者は4日、友人が経営するオマーンの販売代理店を通じて、日産子会社の資金の一部を私的流用した特別背任容疑で再逮捕された。ゴーン前会長の逮捕は4回目。

ゴーン前会長は昨年11月、自らの役員報酬を有価証券報告書に少なく記載したとして金融商品取引法違反容疑で逮捕され、その後、同法違反容疑と会社法違反(特別背任)の容疑で計2回、再逮捕された。起訴後、ゴーン被告は今年3月6日に保釈された。

https://jp.reuters.com/article/idJPT9N21E010