https://mainichi.jp/articles/20190410/k00/00m/010/271000c

桜田氏の失言「被災地を愚弄」「自らとどめ刺した」 地元・千葉からも厳しい指摘
毎日新聞 2019年4月10日 22時53分(最終更新 4月10日 23時10分)

 「復興五輪」の仕切り役のはずの桜田義孝五輪相の突然の辞任。繰り返されてきた失言の中には、東日本大震災の被災地に関するものもあり、甚大な被害が出た東北の被災者や、液状化などの被害に苦しんだ住民も少なくない地元千葉県の地方議員からは「被災地を愚弄(ぐろう)している」「自らにとどめを刺した」など厳しい指摘もあった。

 桜田氏が失言したのは、10日に行われた被災地の岩手県が地元の高橋比奈子衆院議員(比例東北ブロック)のパーティー。震災で住民の1割弱が死亡・行方不明となった同県大槌町出身で、自民党県連幹事長の岩崎友一県議は「誠に遺憾。それ以外にない。被災地を愚弄している。復興五輪が薄れてしまう。残念を通り越して言語道断だ」と憤った。

 桜田氏は3月にも自身の選挙区のある千葉県内の集会で「(震災時に)国道や東北自動車道が健全に動いていた」などと事実誤認の発言をし、謝罪。4月9日の参院内閣委員会でも、被災地の宮城県石巻(いしのまき)市を3回にわたり「いしまき」と言い間違える失言があり、被災者の懸念が増していた。

 聖火リレーの出発地誘致などの活動を続けてきた石巻市体育協会の伊藤和男会長(72)は、この言い間違えに「そういう人柄と思い、特に気にはならなかったが、政治家に向いているのかなとは思った。復興五輪がこんな形で話題になるのは残念。次の五輪相は石巻にも足を運んでほしい」と話した。

 一方、桜田氏は地元・千葉では自民党県連会長。統一地方選で陣頭指揮する立場だが、7日に当選したばかりの自民県議は「しょうがない人。自らとどめを刺した。副国交相の辞任もあり『またか』と有権者が思い、選挙に影響があるかも」と危惧。14日に告示が迫る船橋市議選に出馬する自民市議は「言ってはいけないことで残念。自分の選挙には関係がないと思って頑張りたい」と自らに言い聞かせた。【藤井朋子、百武信幸、町野幸、斎藤文太郎】