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枕木の老朽化一因か/弘南鉄道大鰐線脱線
2019年4月15日更新

 青森県弘前市紙漉町の弘南鉄道大鰐線で列車が脱線した事故で、列車がカーブを走行中、先頭車両の左の車輪一つがレール内側に外れて脱線したとみられることが運輸安全委員会の調べで15日分かった。カーブ途中にあるレール下の枕木の老朽化により、枕木を留(と)めるためのくぎが複数カ所で約数ミリ浮き上がっていた。同委員会は事故との関連について調べる方針。

 弘南鉄道は15日夜まで復旧作業を進めたが、同日午後10時ごろ、16日も全区間での運転の見合わせると発表した。運輸安全委員会の調査と安全対策が継続されるため。復旧のめどは立っていない。

 事故車両は午後7時すぎまでにジャッキで引き上げられ、車庫がある津軽大沢駅に戻った。15日夜まで別車両が試験運行を実施したが、調査状況などを踏まえ16日の運休を決めた。

 15日午後に始まった調査には鉄道事故調査官と同鉄道職員、東北運輸局員、県警や弘前署員の約25人が立ち会った。脱線箇所は、車輪とこすれることでレールに残る傷から判明した。事故原因は調査中。置き石が原因である可能性は低いとみられる。昨年7月に行われたレールの定期検査で異常はみられなかった。

 鉄道事故調査官の西本正人さん(51)によると、現場は比較的急なカーブだという。当区間の制限速度は時速30キロ。事故発生当時の走行速度は運転士への今後の聞き取りなどで調べる。

 脱線したのは中央弘前駅発大鰐行き(2両編成)の列車で、現場は弘高下駅手前約250メートル地点。15日は40本が運転を見合わせ、約1300人に影響が出た。

 弘南鉄道の成田敏取締役常務は「本当に申し訳ない。調査で指摘されることは早急に対処し、今後二度と事故が起きないよう安全運行に努めたい」と話した。

 16日以降も鉄道事故調査官と東北運輸局員の5人体制で事故車両を詳しく調べる予定。