熊本県の阿蘇山で16日夜、ごく小規模な噴火が発生し、噴煙が火口から200メートルの高さまで上がりました。気象庁は阿蘇山に発表している噴火警戒レベル2の火口周辺警報を継続し、中岳第一火口からおおむね1キロの範囲で大きな噴石や火砕流に引き続き警戒するよう呼びかけています。

気象庁によりますと16日午後6時28分、熊本県の阿蘇山の中岳第一火口で噴火が発生し、火山灰が混じった噴煙が火口からおよそ200メートルの高さまで上がりました。阿蘇山で噴火が発生したのは平成28年10月以来です。

阿蘇山では今月に入り、火山性微動の振幅がやや大きくなり、火山ガスの放出量が増えるなど活動が高まり、気象庁は今月14日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを2に引き上げていました。

気象庁は噴火警戒レベル2を継続し、引き続き、「中岳第一火口」からおおむね1キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

阿蘇山の噴火活動に詳しい京都大学の大倉敬宏教授は「阿蘇山では火山活動がやや活発になっていた。きょうの噴火は小規模なものだが、今後、地下のマグマだまりが膨張するなどの変化が見られた場合にはより規模の大きな噴火につながる可能性もあるので、今後の活動の推移を注意深く監視する必要がある」としています。

熊本県阿蘇市にある阿蘇火山博物館が設置している火口カメラの映像からは午後6時28分すぎ、火口から灰色の噴煙があがっているのが確認できます。

■警察「これまでのところ被害の通報ない」

阿蘇警察署によりますと、「今、火山噴火を確認したところで詳しいことは分からない。これまでのところけが人などの被害の通報はない。パトカーで市内を巡回し、被害を確認していく」と話していました。

阿蘇広域消防本部によりますと、午後6時40分現在、被害の情報は入っていないと言うことです。

■熊本空港は通常どおり

航空各社によりますと、阿蘇山の噴火で熊本空港を発着する便に飛行ルートを変更するなどの影響は今のところなく、通常どおりの運航を予定しているということです。

■阿蘇の最近の活動

熊本県の阿蘇山の火山活動はおととし2月に噴火警戒レベルが「1」に引き下げられて以降、およそ2年にわたり落ち着いた状態でしたが、ことし2月から活発化しました。

先月には地下のマグマやガスなどの動きを示すとされる火山性微動の振幅が大きくなり、気象庁は先月12日、火口周辺警報を発表して噴火警戒レベルを火口周辺への立ち入り規制を呼びかける「レベル2」に引き上げました。

その後、気象庁は噴火の可能性が低くなったとして噴火警戒レベルを「1」に引き下げましたが、今月14日に再び「2」に引き上げていました。

■阿蘇山 過去の噴火速報

熊本県の阿蘇山ではこれまでに2回、「噴火速報」が発表されています。

このうち3年前の平成28年10月の噴火は昭和55年1月以来の爆発的噴火となり、噴煙が1万1000メートルの高さに達したほか、大きな噴石が火口からおよそ1.2キロ先まで飛びました。気象庁は噴火警戒レベルを3に引き上げ、火口からおおむね2キロの範囲で警戒を呼びかけました。

その後、活動が落ち着いたため、気象庁はこの年の12月に噴火警戒レベルを2に、よくとし平成29年の2月には火口周辺警報を解除して、噴火警戒レベルを1に引き下げました。

また4年前の平成27年9月の噴火では噴煙が火口から2000メートルの高さまで上がり、火口の周辺に大きな噴石が飛びました。

気象庁は噴火警戒レベルを3に引き上げ、火口からおおむね2キロの範囲で警戒を呼びかけました。

その後、活動が落ち着いたため、気象庁はこの年の11月に噴火警戒レベルを2に引き下げました。

■カルデラ内に複数の山が連なる活火山

熊本県の阿蘇山は東西17キロ、南北25キロのカルデラ内に複数の山が連なる活火山です。最高峰の高岳は標高1592メートル、最も活動が活発な中岳は標高が1506メートルあります。

白い噴煙を上げる火口や火口内の湯だまりを見ることができる火口見学が国内外の多くの観光客の人気を集めてきました。

2019年4月16日 19時07分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190416/k10011886171000.html?utm_int=news_contents_news-main_003
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