国内外で人気の高い瀬戸内国際芸術祭が今月開幕する香川県・小豆島。玄関口となるフェリーターミナルのアートトイレのドアについて、総務省四国行政評価支局(高松市)が「識別しづらい」と指摘した。ドアノブが奇抜な白黒模様と重なり、視覚障害者らには見えにくい状態となっている。芸術祭の開幕は26日に迫るが、改善は間に合わず現状のまま来場者を迎えることになりそうだ。

 芸術祭は2010年から3年に1度、主に香川県内の島々を会場に開催し、多彩な芸術作品の展示やイベントがある。今回は11月上旬まで春、夏、秋の会期があり、県などでつくる実行委は延べ約100万人の来場を見込む。

 指摘があったトイレは、小豆島・土庄港フェリーターミナル(同県土庄町)1階にある。管理する町によると、前回芸術祭が終了した後の16年秋、「ART no SHOW TERMINAL(アートノショーターミナル)」と銘打ち、デザイナーのコシノジュンコさんの事務所が監修してターミナルを改装した。トイレも元々白いタイル張りだったが、アーティスト・田中秀和さんの絵画作品「緊張と解放の図面」を印刷したシートをドアや壁に貼った。曲線や丸などの文様がモノトーンで表現されている。事業費は約90万円。

 芸術祭を控え、施策のチェックを行う同支局が昨年8月、来場者が多く見込まれる港施設をバリアフリーの観点から点検。視覚障害者の女性とトイレを訪れた際、使いづらいとの声が上がった。金属製のドアノブは改装前から使われているが、細身で緩くカーブしており、背景のデザインと重なって判別しづらかった。同支局は周辺歩道の段差、案内表示の小ささなどと併せて町に指摘した。

 町は改善を図る予定で、シートをはがして白い壁に戻す▽視認性の高いドアノブの形状・色に変える――などの対策を想定。ただ、作品の撤去やイメージの変更は作家への説明も必要で、時間がかかるという。町商工観光課の担当者は「指摘を謙虚に受け止め、不自由のない形にする。障害者団体に相談するなどし、優先順位を付けて直したい」と話している。【植松晃一】

4/18(木) 15:51
毎日新聞
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