4/19(金) 8:50配信
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 青森県内で潮干狩りの穴場として知られる平内町の浅所海岸で近年、アサリの乱獲が後を絶たず、一帯の漁業権を持つ平内町漁協が今年から、一般利用者の潮干狩りを禁止する事態となっている。同漁協は看板を設置して潮干狩りの禁止を周知しており、青森海上保安部も16日から取り締まりに乗り出した。ただ、現在は潮干狩りシーズン真っただ中とあって、皇位継承に伴う10連休を控え、残念がる声も上がっている。

 <この海岸は漁業権が設定されており、あさり等獲ってはいけません>

 4月第2週から、同漁協が浅所海岸2カ所と、同海岸に近接する浜子(はまご)地区の海岸1カ所に設置した看板は、採取が密漁行為に当たり、法律で罰せられる−と注意喚起する内容。そのためか、好天にもかかわらず海岸周辺は閑散としていた。

 同漁協によると、遠浅の浅所海岸は毎年3〜5月の干潮時、平日で1日50〜60人、休日には100人を超える家族連れらが潮干狩りに訪れるという。漁業権を持つ同漁協はこれまで、娯楽目的での少量採取については黙認してきた。ところがこの2〜3年は、レジャー目的の熊手ではなく、漁業者が使用する道具を使って一度に10〜20キロもの大量のアサリを乱獲する人が出始めた。転売目的の可能性が高いという。

 複数の漁業者が乱獲の様子を目撃しており、漁協は当初、大量採取の悪質な人だけを締め出すことも考えたが「一般の人との線引きが難しく、一律に全面禁止することを決めた」(佐々木一二(かつじ)・指導部長)という。利用者が特に多い浅所海岸などに看板を設置したが、同町の沿岸全てで採取を禁止している。青森海保も今後、違法性の高い行為については摘発も辞さない構えだ。

 同海岸はハクチョウの飛来地としても知られており、餌となる藻場が荒らされるのを防ぐ必要もある。漁協には潮干狩りに関する問い合わせがこれまでに数十件来ているといい、佐々木部長は「(むつ市の)芦崎湾のように、年に1回でも開放することを検討していきたい」と話した。

 近くに住む70代の女性は「昔はアサリ以外にシジミなども採れていた。マナーを守らない人のために、こんなことになってしまって残念。大型連休の時はたくさんの人が来ていたのに寂しいね」と漏らした。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190419-00000002-webtoo-l02