「助けて」「大丈夫か」−。大勢の買い物客らが行き交う日曜午後の神戸の繁華街に、悲鳴や怒号が響いた。神戸市中心部のJR三ノ宮駅北側の横断歩道で21日、神戸市営バスが歩行者をはね、男女8人を死傷させた事故。バスは人や自転車を車輪に巻き込みながら暴走した。直前にバスを降りた乗客の男性会社員(43)は、「(運転手は)体調が悪そうだった」と振り返る。バスに何が起こったのか。

 事故直後、道路上には複数の歩行者が倒れ、血を流した若い女性に駆け寄る別の歩行者の姿も。間もなく警察や消防の車両が到着し、人々の悲鳴や怒号はサイレン音にかき消された。

 現場近くの飲食店に勤務する40代男性は「右前輪の下に1人が引きずられ、左前輪には自転車が絡まっていた」と現場の凄惨(せいさん)さを証言。事故を直接目撃した同市の高校3年の男子生徒(17)は「バスは歩行者4〜5人をはね、中央分離帯に衝突して止まった。悲鳴が聞こえ女性2人が倒れていた」と述べた。

 神戸市北区の男性会社員はこの日、事故を起こしたバスに乗車し地下鉄三宮駅前で下車。大勢の歩行者とともに、停留所南側の横断歩道を青信号で渡っていると、突然「バーン」という音とともに女性の悲鳴が聞こえ、片側4車線の中央分離帯に車体をこすりながら停車するバスが見えた。

 運転手の大野二巳雄(ふみお)容疑者(64)=自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で現行犯逮捕=とは、下車直前の精算の際に顔を合わせたといい、「体調が悪いのか、しんどそうな様子だった」と話した。

2019.4.21 23:41|
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