2019年4月23日 16時04分
水産物輸入禁止 日韓局長級協議で撤廃要請も平行線
2019年4月23日 16時04分

WTO=世界貿易機関の上級委員会で、韓国政府による水産物の輸入禁止の撤廃を求めていた日本側の主張が退けられてから初めてとなる日韓の外務省の局長級協議が開かれ、日本側は輸入禁止措置の撤廃を改めて求めましたが、韓国側は維持する方針を示し、協議は平行線に終わりました。

原発事故による汚染水問題を理由に、韓国政府が福島など8つの県の水産物の輸入を禁止していることについて、WTO=世界貿易機関の上級委員会は今月11日、韓国側に是正を求めた第1審にあたる小委員会の判断を取り消すとした報告書を公表し、日本側の主張は退けられました。

それから初めてとなる日韓の局長級協議が外務省で開かれ、日本側から金杉アジア大洋州局長が、韓国側からキム・ヨンギル(金容吉)北東アジア局長が出席しました。

この中で、金杉局長は、日本産の食品は韓国の安全基準を満たしているとして、改めて輸入禁止措置を撤廃するよう要請しました。

これに対し、キム局長は、WTOの上級委員会が先に日本の主張を退けたことを踏まえ、輸入禁止措置を維持する方針を示し、協議は平行線に終わりました。

また、協議では、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる判決についても意見が交わされ、日本側が日韓請求権協定に基づく協議に応じるよう求めたのに対し、韓国側は「対応を検討している」と述べるにとどめ、進展はありませんでした。

韓国「WTOの判断を尊重」
韓国外務省は23日、東京で行われた日韓の外務省の局長級協議についてコメントを発表しました。

それによりますと、日本側が福島など8県の水産物の輸入禁止措置の撤廃を求めてきたことについて、韓国側は「WTOの判断を尊重する必要性とともに、国民の健康と安全が最優先であるという韓国政府の立場を説明した」として、輸入禁止措置を維持する方針を示しました。

このほか、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題についても意見を交わしたとしていますが、コメントでは、日本側が求めている日韓請求権協定に基づく協議に応じるかどうか言及しませんでした。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190423/k10011893441000.html