水産物輸入禁止「復興努力に水差す」 WTO会合で政府、上級委の判断に抗議

https://www.sankei.com/politics/news/190426/plt1904260040-n1.html
2019.4.26 23:40、産経新聞社、産経新聞、THE SANKEI NEWS

 世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関の会合が26日、ジュネーブで開かれ、伊原純一駐ジュネーブ国際機関政府代表部大使は、韓国による福島など8県産水産物の輸入禁止措置をめぐる日本の主張をWTOの上級委員会が退けたことに対し「被災地の復興の努力に水を差す。極めて残念だ」と抗議した。

 会合は非公開で開かれ、韓国のほか米国、中国など164の加盟国・地域が参加した。

 上級委員会は11日、東京電力福島第1原発事故を理由とする韓国の禁輸措置を不当とした「1審」の紛争処理小委員会(パネル)の判断を破棄する報告書を出した。上級委が判断を示して以降、日本政府がWTOの会合で公式に意見表明したのは初めて。

 外務省によると、伊原氏は、上級委の報告書について「明確な科学的根拠から導かれたパネルの判断を軽視している」と述べた上で、韓国の輸入規制がWTO違反かどうかの判断をしなかった点を問題視した。

 伊原氏はさらに、上級委が「紛争解決に資するものとなっていない」とも批判し、今後、上級委のあり方について、WTOで議論する必要性も訴えた。WTOの紛争解決制度をめぐっては、安倍晋三首相も改革に強い意欲を示している。

 会合では、上級委の判断を盛り込んだ報告書を討議後に採択した。二審制で再審制度もないため、この判断が確定となる。