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米石油大手シェブロン、同業の5兆円超の買収を取りやめ
2019年5月9日 23:00

【ニューヨーク=中山修志】米石油メジャーのシェブロンは9日、米石油会社アナダルコの5兆円を超える買収計画を取りやめると発表した。アナダルコが申し入れた買収計画の撤回を受け入れ、違約金10億ドル(約1100億円)を取得する。シェブロンの撤退でアナダルコは、米同業のオキシデンタル・ペトロリアムに買収されることがほぼ確実となった。

シェブロンは同日、アナダルコに対する買収条件の引き上げを行わないと発表した。アナダルコは6日、シェブロンに対し買収合意の撤回を要請し、10日までを期限として条件変更を受け付けるとしていた。

アナダルコは4月にシェブロンによる総額500億ドルでの買収に合意したが、その後にオキシデンタルが総額570億ドルでの買収を提案した。アナダルコの取締役会が6日、オキシデンタル側の提案の方が有利だと全会一致で決議した。

シェブロンはアナダルコから受け取る違約金10億ドルをすべて自社株買いに充て、株主に還元する方針だ。シェブロンのマイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は「引き続き優良資産を求めていくが、金額面の競争は望まない」とコメントした。

2014年以降の原油相場の下落で石油業界のM&A(合併・買収)は下火になっていた。今年に入って原油価格は回復基調にあり、M&Aや石油・ガスの開発投資が活発になっている。