2019年5月10日 15時10分
インスタント食品の製造にも使われるフリーズドライ技術で凍結乾燥させたマウスの精子は高温などの環境にさらされても子どもを誕生させる能力が保たれることが分かったと、山梨大学などの研究グループが発表しました。研究グループは希少な動物の遺伝子などを長期間、安全に保存するために重要な知見だとしています。

山梨大学発生工学研究センターの若山照彦教授らのグループはマウスの精子をインスタント食品の製造にも使われるフリーズドライ技術で凍結乾燥させたうえでほぼ真空状態にした容器に入れ、高温の環境に置いたり急激に冷やしたりしても体外受精が可能かどうか実験を行いました。

その結果、95度のオーブンで1時間加熱したあとのフリーズドライ精子から子どものマウスを誕生させることに成功したということです。

また、氷点下196度まで冷やして常温に戻すという作業を10回繰り返したあとでも受精し、精子のDNAには温度変化への強い耐性があることが分かったということです。

研究グループではこれまでもマウスのフリーズドライ精子をほぼ真空状態にすることで室温で1年間保存し、子どもを誕生させるのに成功していて、希少な動物の遺伝子などを長期間、安全に保存するために重要な知見だとしています。

グループの中心メンバーの若山清香助教は「絶滅のおそれがあるものを含め、さまざまな哺乳類の精子の保存にフリーズドライ技術が活用できる」と話しています。

研究成果をまとめた論文は、イギリスのオンライン科学雑誌「サイエンティフィックリポーツ」に掲載されています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190510/k10011911501000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_022