ふん害や鳴き声などが問題化しているカラスへの新たな対策として富山市は10日、カラスの侵入を禁止する看板を富山城址(じょうし)公園内に設置した。看板を見た人の視線で追い払う効果を狙う。市は捕獲や罰則規定の条例などで対策を進めているが、数千羽が生息する中心街の被害は今でも深刻。カラスとの闘いは心理戦に突入した。(柘原由紀)

人の注目嫌がる習性に狙い
 看板は、樹木が多くカラスのねぐらとなっている公園内六カ所に設置。多くの観光客らが利用する松川の遊覧船乗り場近くの二カ所に、「カラス居座り禁止」の文字とカラスの絵が描かれた看板を立てた。このほか、富山城の城門前などには「御触書」と題して「城下ニオイテ烏(カラス)為ルモノニ餌ヲ与エル事ヲ禁ズ」と記した看板、公園内の芝生広場などには「告」と題して「烏(カラス)に告ぐ ココデ餌ヲ食ウベカラズ」と訴える看板が登場した。

 市によると、岩手県大槌町にある東大大気海洋研究所が数年前から「カラス侵入禁止」と書いた紙を掲示したところカラスが寄り付かなくなった。警告文を見た人が立ち止まって目を向けることで、人の視線を嫌がる習性のあるカラスは恐怖を感じるという。市はこの成功を手本にした。

 これまで市はおりでの捕獲と狩猟で生息数を着々と減らしてきた。環境保全課によると、中心街をねぐらにするカラスの数は捕獲開始以降、二〇〇八年の約一万二千羽をピークに今年は約三千羽まで減少。さらに、七月からは餌やりを禁止する罰則付きの「カラス被害防止条例」が施行される。

 三年間のカラス対策強化事業の最後の年となる本年度は、さらなる効果を目指して看板を設置。担当者は「(看板によって)人がカラスを気に掛けることに注目した。カラスを追い払う効果に期待したい」と話している。

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