◆ 老舗「神戸モンブラン」も店じまい、洋菓子業界の苦悩

兵庫県洋菓子協会の副会長も務めるオーナーパティシエ、松田安正社長が「至高のモンブラン」「お・も・て・な・し半熟チーズ」などヒット商品を生み出し、神戸市・加古川市など県内外に16店舗展開していた老舗洋菓子店「Mont‐Blanc KOBE(モンブラン コウベ)」。
洋菓子激戦区の神戸においても人気・実力とも高く評価され、2015年6月期には年売上高約6億6500万円を計上していたが、18年10月22日、突如、その歴史に幕を下ろした。

00年以降のスイーツブームに乗り、県外へも出店、メディアへの露出も増え、カフェ事業にも進出するなど順風満帆に見えたが、伸びる売り上げとは裏腹に収益は苦しさを増していた。
もともと、廃棄ロスが多く利益率の低い生ケーキが中心。
多品種・小ロット生産で効率は悪く、原材料高騰への対応も難しいため、売れば売るほど赤字を出してしまう商品もあった。

さらに、コンビニエンスストアなど大資本の異業種との競合が激化。
大量生産品らしからぬ出来栄えと低価格が売りのコンビニスイーツは、地方の小規模な洋菓子店の顧客を奪い取っていった。

小麦粉・乳製品など原材料の価格が高騰を続ける一方、商品値上げは難しく、人手不足による人件費上昇が追い打ちをかけた。
この間、一部作業の機械化や外国人の雇用に踏み切るなどの策を講じるも効果は薄かった。
加えて、18年6月の大阪府北部地震、夏場の猛暑とその後の台風災害による販売機会損失が資金繰りを悪化させた。

出店に伴う費用の大半を銀行借り入れに依存していたことも足かせとなり、8月頃には借入金の返済条件緩和を要請せざるを得ない状況に陥った。
そして、10月、その交渉もままならないまま決断を迫られた松田社長は55年に及ぶ歴史に終止符を打った。

ニュースイッチ 2019年5月15日 8時55分
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