関電VS大阪ガス「卒FIT」でも顧客争奪戦…関西対象は9万世帯

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2019/5/16(木) 12:06配信,YAHOO!JAPAN NEWS,産経新聞

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 家庭用の太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)の最初の契約期間が11月以降に順次終わるのを前に、
 関西電力と大阪ガスの顧客争奪戦が本格化してきた。
 制度上、新たな買い取り価格は現行の6分の1程度に下がるだけに、大ガスは関電より少しでも高値で対抗し、
 両社とも新たなサービスとあわせて顧客の囲い込みを優位に進めることを目指す。
 関電管内では年度内に約9万世帯がFITの対象外となる見通しで、秋に向けて両社の営業攻勢が過熱しそうだ。

 家庭用太陽光を買い取る制度は平成21年11月に始まった。
 10年間の買い取り期限が切れる家庭が売電を続けるには大手電力や新電力と契約を結び直す必要があり、「卒FIT」と呼ばれる。
 経済産業省は全国で卒FITを迎える世帯は今年中だけで約53万世帯に上ると試算している。

 関電は4月22日、大手電力では初めて1キロワット時当たり8円の買い取り価格を発表。
 これを受けて大ガスは今月15日、同社の電気とガスのセット販売に申し込んだ顧客は1キロワット時当たり9〜9・5円、
 関電から電気を購入している顧客は同8・5円とする買い取り価格を示した。

 ともに電力の卸市場価格とほぼ同じ水準だが、対象世帯の現在の買い取り価格(同48円)からは6分の1程度に下がることになる。
 このため両社は、売電するよりも自家消費を増やそうとするニーズが高まるとみており、
 今後詳細なサービスを発表するが、例えば昼間にためた電力を夜間に使えるようなサービスなどをあわせて展開する見込みだ。

 エネルギーの小売り全面自由化以降、両社は電力と都市ガスの垣根を越えた激しい顧客争奪戦を展開。
 大ガスは電気で約100万件(今月5日現在)、関電はガスで約82万件(3月31日現在)の契約を獲得した。

 卒FITをめぐっては、他の電力小売り事業者も買い取りへの参入を表明。
 おおむね新電力が大手電力より高値の買い取り価格を示す傾向にあり、関電の顧客離脱防止にむけた取り組みが注目されそうだ。

 【固定価格買い取り制度(FIT=Feed−in Tariff)】

 太陽光や風力といった再生可能エネルギーで発電された電力を一定期間、固定価格で全量買い取ることを電力会社に義務づける制度。
 平成24年7月に開始された。住宅用太陽光(10キロワット未満)の買い取り期間は10年間。
 21年11月に始まった「余剰電力買い取り制度」を引き継いだため、最初に契約した世帯は今年11月に期限切れを迎える。