https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190523-00010009-sanyo-sctch
 超硬質な歯を持つヒザラガイが、歯の表面を覆っている鉱物「磁鉄鉱(じてっこう)」を作るために必要とみられる遺伝子を、岡山大大学院の
根本理子特任助教(遺伝子工学)らの研究グループが特定した。
磁鉄鉱は自然界に分布するほか人工的に製造でき、磁気を帯びているため磁気共鳴画像装置(MRI)などに使われている。
研究成果を基に生物が体内で作り出す仕組みを解明できれば、新たな製造法の開発が期待できるという。

 ヒザラガイは磯辺にすむ軟体動物で、表面に磁鉄鉱が沈着した歯で岩に付いた藻などを削り取って食べる。
歯の形成に必要な鉄やタンパク質は、歯の周りの細胞から供給されていると考えられている。

 根本特任助教らは、磁鉄鉱の形成に関わる遺伝子を特定するため、特殊な解析装置を使って歯や周りの細胞で働く10万種類以上の遺伝子を把握した。
その中から磁鉄鉱が沈着している成熟した歯だけに含まれ、「磁石の歯」の形成に関与している22種類のタンパク質の遺伝子を特定した。

 これらのタンパク質の幾つかは、磁鉄鉱を作るために鉄を結晶化させたり、必要な酸素を運んだりしている可能性がある。
他の生物には存在しない新たなタンパク質も確認できたという。

 磁鉄鉱は充電池や磁気記録媒体の材料としても使われている。
人工で作るには高温処理や薬品の使用が必要で、根本特任助教は「タンパク質の働きを詳しく調べ、環境に優しい製造法の開発につなげたい」と話している。
磁鉄鉱は模造ダイヤを超える耐摩耗性も特長で、形成メカニズムの解明は、この特性を生かした新素材の開発にも役立つという。


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