手錠腰縄で法廷 裁判所の対応は配慮欠き不適切 大阪地裁

 服役していた男性など2人が刑事裁判の法廷で手錠や腰縄をつけられた姿をさらされ尊厳を傷つけられたとして国に賠償を求めた裁判で、大阪地方裁判所は訴えを退けた一方、裁判所の対応は被告への配慮を欠き、不適切だったと指摘しました。

 覚醒剤取締法違反の罪で服役していた30代の男性など2人は、刑事裁判の時に法廷に出入りした際、傍聴人の前で手錠や腰縄をつけられた姿をさらされ尊厳を傷つけられたなどと主張して国に50万円の賠償を求めていました。

 27日の判決で、大阪地方裁判所の大須賀寛之裁判長は「手錠や腰縄をした姿をさらされたくないという被告の意向は憲法で保障された個人の尊厳を守るうえで可能なかぎり尊重されるべきだ」という判断を示しました。

 そして「裁判官が理由も示さないまま特段の措置をとらなかったのは被告への配慮を欠き、相当ではない」と述べ、裁判所の対応は不適切だったと指摘しました。

 ただ、こうした対応が違法だったとまではいえないとして、訴え自体は退けました。

 原告の弁護団の山下潔弁護士は「手錠、腰縄の問題を克服するための画期的な判決だ」と評価したうえで、高裁や最高裁の判断も求めていく考えを示しました。

NHK NEWS WEB 2019年5月27日 18時48分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190527/k10011931471000.html