https://www.sankei.com/west/news/190525/wst1905250009-n1.html
 米原市と多賀町にまたがる霊仙山(りょうぜんざん)(標高1094メートル)で、ニホンジカによる食害の現地調査が行われた。
かつてササに覆われていた山頂一帯約20ヘクタールは食害で地肌が露出しており、米原市の職員や霊仙クリーンロードクラブ、
霊仙山麓トレイル研究会のメンバーが小型無人機(ドローン)を飛ばして現状を確認した。

 県内最高峰の伊吹山(1377メートル)の南に対峙する霊仙山の山頂一帯は、ニホンジカがクマザサなどの植物を食べ尽くした結果、
石灰岩が露出して雨のたびに泥水が流出。
中腹の谷あいでは地崩れも多く、山麓の地域では土石流による被害などが懸念されている。

伊吹山の山頂部の「お花畑」にはシカ対策の柵が設けられているが、霊仙山は「花の百名山」として知られているにもかかわらず、放置状態が続いている。

 今回の調査では、9合目付近(標高約1000メートル)の丘陵地一帯は草木がなく地肌がむき出しで白い石灰岩が露出していることが判明。
雨で赤茶色の地表が流出し、新たに出来たドリーネ(すり鉢状の窪)2カ所も確認された。
沼地にはニホンジカの足跡が多く見られ、木も根元部分がかじられて枯死していたという。

 米原市や霊仙クリーンロードクラブ、霊仙山麓トレイル研究会は6月中にも「霊仙山再生プロジェクト」(仮称)を結成し、
県湖北森林整備事務所と協力して対策を進める方針だ。

 調査にあたった野生植物の生態に詳しい県立大の野間直彦准教授は
「10年前はササが胸まであったのに、風景が全く変わり果てしまい、悲しい思いだ。伊吹山以上に食害のひどさが良く分かった」と話している。

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