一連の施工不良は、レオパレスと対立するオーナーで組織された「LPオーナー会」(以下LP会)の調査とテレビ番組の報道がきいかけで明らかになった。

従前からレオパレスの賃貸アパートには「壁が薄くて、隣の声が筒抜け」など不良物件のうわさがくすぶっていた。当初は「業績に影響がない」としていたにもかかわらず施工不良の物件数が日を追うごとに膨れ上がっているなど、経営体質そのものを問う声が広がっている。

今回で3度目の経営危機
実はレオパレスの経営危機は今回で3度目だ。最初はバブル崩壊だった。同社は1973年に創業。自社で不動産を取得し、節税目的の投資家に分譲アパートを販売するビジネスモデルで1989年に上場を果たした。ところが税制改正とバブルの崩壊で節税需要が急減、アパート建築の解約が相次ぎ、深刻な経営危機に陥った。

そのため1993年ごろから、自社で不動産を保有せず、地主に賃貸アパートを建てさせる建築請負事業と、建てたアパートを一括で借り上げるサブリースが主軸の事業構造に転換した。

さらにリーマンショック後にはアパート建築請負を大幅に縮小。現在はサブリースで借り上げる57万戸のアパート管理をビジネスの主体にしている。年間150億〜200億円の営業利益を安定的に稼ぎ出し、2016年3月期にやっと復配にこぎ着けた矢先に、今回の施工不良が発覚した。

施工不良があったアパートを所有するあるオーナーは、20年ほど前にレオパレスとアパートの建築と借り上げの契約を結んだ。「当時は、周辺相場より2割近く高い家賃を払ってくれた。客付けもして、管理までしてくれる。建築価格は高かったが、こんなに楽なことはないと思った」と言う。

1990年代前半、レオパレスが賃貸アパートに参入した時点では、大東建託や積水ハウス、大和ハウス工業といった大手がすでに幅をきかせていた。そのため同社は大手が手がけていない、単身者向けアパートに的を絞った。建築費用を高めに設定する一方で、相場より高い一括借り上げ家賃を設定することで、初期投資は高くても、高い借り上げ家賃を武器に地主へ営業攻勢をかけたのだ。

こうした戦略が奏功し、同社は経営危機を脱し、賃貸アパート業界の上位に躍り出た。「賃貸アパートのプランの見積もりを頼んだら、翌朝には持ってきた」(前出のオーナー)という、積極的な営業攻勢で鳴らしたのは主にこの時期のことだ。

リーマンショックで社宅需要が急減
だが、こうした拡大路線は2008年のリーマンショックで暗転した。単身者向けアパートを展開するレオパレスにとって、今も昔も最大のお得意様は、社員向けの独身寮用として入居してくれる法人顧客だ。

だが、最大顧客の自動車メーカーや電機メーカーはリーマンショック後の需要急減を受けて、軒並み期間工や派遣社員の雇用を打ち切る「雇い止め」を実施した。

レオパレスにとっては、こうした法人利用が急減して受取家賃が減った上に、オーナーに対しては相場より高い借り上げ家賃を支払い続けなければならなかった。その結果、受け取りと支払いが逆転する「逆ザヤ」となり、2010年3月期は営業赤字に転落。巨額の空室損失引当金のために、790億円の最終赤字を計上した。

そこで踏み切ったのが、多くのオーナーに対して支払い家賃を減額し、借り上げ契約を解除するという、いわゆる「終了プロジェクト」だ。会社側の見解はあくまで「(オーナーとの)合意の上で、周辺相場の家賃水準にした」というものだが、多くのオーナーにとってはこの家賃減額交渉はトラウマに近い傷を残した。そして、この時の反発が前出のLP会の発足に結び付いていく。

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