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増える気管支ぜんそく たばこやストレスも発作の原因に
新潟大学大学院医歯学総合研究科 小屋俊之准教授
2019年6月1日9時0分

医の手帳・ぜんそく(1)

 ぜんそくはアレルギー疾患の中でも代表格の病気です。3回にわたり、原因や特徴、治療などについて説明します。

 ぜんそくは正しくは「気管支ぜんそく」と呼びます。空気の通り道(気道)に炎症が慢性的に発生し、様々な刺激に気道が敏感になって、発作的に気道が狭くなることを繰り返す病気です。

 この呼吸困難は自然に、あるいは治療により軽快、治癒しますが、まれに死に至ることもあります。慢性的な炎症によって、気道は過敏な状態となっています。そこへ発作をおこす刺激が加わると、気道の平滑筋(へいかつきん)が収縮して気道が狭くなります。

 また、たんも増加するためにさらに気道が狭くなり、せきや喘鳴(ぜんめい)を伴う呼吸困難がおこります。ぜんそくの治療は、発作をおこさないための気道炎症に対する治療が中心となります。

 気管支ぜんそくの60〜70%の患者さんが、何らかのアレルゲン(アレルギーの原因たんぱく)に反応を示します。その多くはダニの死骸やフン、それらを含んだほこり、ペットのフケ、カビ、ゴキブリ、種々の花粉などです。

 ぜんそくの発作の原因として、これらのアレルゲンを吸入すること、たばこの煙、風邪・感染症、汚れた空気(排ガスや光化学スモッグ、PM2・5など)、天気や気圧の変化、運動、過労・ストレス、薬(解熱剤や鎮痛薬)などが知られており、それらに対処することが発作の防止につながります。

 気管支ぜんそくの患者さんは成人で100人あたり5人、小児では10人前後いると言われており、その数は増加しています。

 増加の原因として、家屋構造や生活様式の変化によるアレルゲンの増加、排ガスや工場排煙などによる大気汚染、食品や住宅建材などの化学物質、長時間勤務による過労やストレスが増えたこと、清潔すぎる環境などが考えられています。