毎日新聞 2019年6月1日 20時20分(最終更新 6月1日 20時32分)
川崎市多摩区でスクールバスを待っていた私立カリタス小学校の児童らが襲われて20人が死傷した事件で、神奈川県警が自殺した岩崎隆一容疑者(51)の近況を示す有力な証言や資料の確保に苦慮している。身辺の捜査で動機につながるものがないか調べているが、長期間にわたって外部との接触を避けていたとされ、写真も中学時代のものしか確認できていないという。

一方、児童らを切りつけた柳刃包丁2本は、岩崎容疑者が今年2月、東京都町田市内の大型量販店で購入したものだった可能性が高いことが、捜査関係者への取材で判明した。県警が居室内から押収した包丁の空き箱には店のシールが貼られており、この店舗では2月に同型の包丁が2本売れていたという。こうしたことから、岩崎容疑者が少なくとも3カ月前には事件を計画していた疑いがある。

 これまでの捜査などで、岩崎容疑者は幼い頃に伯父、伯母に預けられたことが判明している。学校卒業後も長期間、定職に就いたことはなかったとみられ、外部との交流を絶っていた。県警によると、容疑者の居室にテレビはあったが、パソコンやスマートフォンはなく、情報を得る手段も乏しかった。

 最近の容疑者の姿を見た近隣の人は少なく、親族と言葉を交わす機会も極端に少なかったとされる。居室に残されたのは少し前のゲームソフトや10年以上前の診察券、古い雑誌のように昔の物が多いといい、捜査幹部は「本人の人となりが見えてこない」と話す。

 今年1月には、今後を心配した伯父らが岩崎容疑者の部屋の前に手紙を置き、これからの生活について尋ねると、岩崎容疑者は「自分のことはちゃんとやっている。食事も洗濯もしている」と反論してきたという。その約1カ月後に、岩崎容疑者は包丁を購入した可能性がある。

 岩崎容疑者は5月28日午前7時40分ごろ、多摩区のスクールバス乗り場で包丁で児童らに切りかかり、6年の栗林華子さん(11)、保護者の小山(おやま)智史さん(39)を殺害し、18人に重軽傷を負わせたとされる。

 栗林さんの遺族の代理人弁護士は1日、「親族のみで5月31日に荼毘(だび)に付し、お見送りをした」と明らかにした。【洪玟香、中村紬葵】

https://mainichi.jp/articles/20190601/k00/00m/040/228000c
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