◆平均所得1000万円の港区に潜む格差

東京都港区は、東京湾の西側に位置する人口総数が25万3639人(2018年1月1日時点)の自治体。
知名度が高いTV局や広告代理店などといった一流企業が、汐留などのビジネス街を形成しています。
六本木や赤坂、さらには高級住宅街として知られる白金も港区に位置します。

総務省の資料とみらめっこしてみると、港区の平均所得は1000万円を超えることが伺えます。

ブランド力により生まれた「港区女子」という言葉を、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
実はそんな港区でも格差が激しい現状があり、住む子供が「生きづらさ」を抱えていました。

◆中学受験をするかしないかで経済格差を感じる子どもたち

「港区には、格差があります。民間マンションと公営住宅のどちらに住んでいるかが大きな分かれ目ではないでしょうか。
仕事をしていて感じることもしばしばです。ですが、子供たちは仲良くわいわいと遊んでいますよ」

そう話すのは、港区内にある保育室で働く女性職員。保育室とは待機児童を解消するため、
港区独自の制度によって作られた子供を預けるための施設です。ここの保育室では、主に0〜3歳児を預かっています。

しかし大きく変わってくるのは、小学生からでした。

「私立の小学校と公立の小学校では、中学受験をする生徒の数に差があり、公立学校に通う子供が自身の家庭が置かれている経済状況を感じたりもしますね」

都内の学校に通う二十代の男子学生の山口さん(仮名)はこう話します。
彼は港区に生まれ育ち、同区内の小中学校・高校へと進学しました。

親の仕事の忙しさから抱える寂しさ。中学受験をする、しないで感じる経済格差。
あらゆる要素が、子供を苦しめている港区。

東京都教育委員会が公表した23区内における公立小学校から公立中学校への進学率を低い順から見てみると、中央区が53%、文京区が54%、港区が59%とワースト3位にランクインしています。

中央区や文京区と比べ、港区は1.5倍ほど平均年収がズバ抜けて高いです。
(※)親の激務が原因で、子どもは一人で放っておかれることも。港区にて街頭取材を行っていると、耳を疑うような声を聞くことができました。

「親の仕事が忙しく、子供が両親の出張などの際にクレジットカードを渡されるケースがあります。親不在の中カードで食料を買うことを余儀なくされ、一人で食事をしていることを耳にしたことがあります」

こう話してくれたのは、港区内にて福祉支援を行っている団体の菅沼さん(仮名)。

一人での食事、孤食をする子供たち。このような事態は、彼らの自尊心の低下・肥満といったあらゆる問題を引き起こします。
また、 家族でも本人以外の人物にクレジットカードの貸し借りを行うことは、クレジットカード会社における約款の違反行為にも繋がり兼ねません。

このような問題に対し、地域コミュニティを形成することで解決を目指しているのが、NPO法人みなと子ども食堂です。

◆子供なら誰でも来ていらっしゃい。港区にある子ども食堂の取り組み

広尾駅から歩いて10分。第1・第3水曜日になると、有栖川宮記念公園にある公共スペース「ありすいきいきプラザ」3Fの講習室・学習室は、日が沈み始める頃に多くの人で賑わいます。
集まるのは、1人でくる小学生の子、学校や保育園に通う子供を持つ親、子ども食堂の関係者といった幅広い人たち。

そんな彼らを集めて行っているのが、NPO法人みなと子ども食堂。理事長を務めるのは、宮口高枝さん。

「私自身もね、母子家庭でね。母が野良仕事で忙しかったから、一人でご飯を食べていたの。だから寂しさは分かります」

http://news.livedoor.com/article/detail/16550211/
2019年6月1日 8時32分 HARBOR BUSINESS Online