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トランプ氏、英との溝「解決可能」 ファーウェイ巡り
2019年6月5日 0:23

【ロンドン=中村亮】トランプ米大統領は4日、次世代通信規格「5G」をめぐる中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の扱いで英国と立場が異なることに関し「違いを乗り越えることは可能だ」と語った。メイ英首相が退陣することを踏まえ、次期政権との政策協調に期待を示した。米英首脳会談後の共同記者会見で語った。

トランプ氏は「英国とはファーウェイを含む全てのことで合意できる」と主張した。米政府は同社が中国政府のスパイ活動に関与していると判断し、同盟国に同社製品を利用しないよう求める。英国は一部で参入を認める方向だ。米政権は米国の要求に従わない国と安全保障に関する情報共有を縮小する方針を示すが、トランプ氏は「(英国に関して)それは考えていない」と話した。

今回の首脳会談は、メイ氏が7日に与党・保守党党首を辞任する直前に開かれ、具体的な政策での成果は乏しかった。トランプ氏からは次期政権との協力を見据えた発言が目立った。

英国の欧州連合(EU)離脱をめぐっては「そう遠くない将来に起きるだろう」と指摘し、早期の離脱が望ましいとの考えをにじませた。メイ氏の後任候補では強硬離脱派のジョンソン前外相を「すばらしい成果を出している」と評価した。

トランプ氏は反EUで多国間主義に懐疑的な強硬離脱派は自身と考えが近いとみて個人的な関係を構築し、幅広い外交政策で連携余地が出ると期待している。メイ氏には生真面目な性格を「校長先生のようだ」と周辺に評したとされ、信頼関係の構築が進まなかった。

一方のメイ氏は会見で「(米英の)特別な関係の土台は協力と妥協だ」と語った。イラン核合意と温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を支持する考えを重ねて表明し、2つの国際合意を一方的に破棄したトランプ政権を暗に批判した。

トランプ氏は2020年の大統領選に向けて成果を求めており、英国との貿易協定にも意欲を示した。EU離脱後に2国間協定を結んだ場合に「(貿易量は)2〜3倍になるだろう」と指摘した。EUを批判する理由の一つとして、EUが交渉権限を一元化し、2国間貿易交渉を阻んでいることをあげていた。