東電の原発事故賠償金を詐取した疑い 元女将ら3人逮捕
6/6(木) 3:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190606-00000026-asahi-soci

 東京電力福島第一原発事故の影響で、旅館の売り上げが落ちたとうそをつき、東電から賠償金をだまし取ったとして、福島県警は5日、無職黒田裕子容疑者(60)=郡山市三穂田町鍋山=ら男女3人を詐欺の疑いで逮捕し、発表した。捜査関係者によると、黒田容疑者は他にも複数の企業の不正請求に関わった疑いがあるという。3人とも容疑を否認している。

 他に逮捕されたのは、韓国籍の会社役員金孝尚容疑者(62)=郡山市桑野5丁目=と、会社役員大橋勝彦容疑者(52)=郡山市逢瀬町多田野。2人は経営していた郡山市の健康ランド「東洋健康センター」=2017年1月に閉鎖=の賠償金詐取事件で逮捕され、金容疑者は7回目、大橋容疑者は2回目の逮捕。

 県警によると、3人は13年7月ごろ、黒田容疑者が女将(おかみ)だった郡山市熱海町の旅館「藤本」=すでに廃業=に原発事故によって営業損害が出たとのうその内容で東電に賠償金を請求し、約1700万円をだまし取った疑いがある。金容疑者が黒田容疑者に不正請求を持ちかけ、黒田容疑者が旅館の決算書を準備。健康ランドの経理担当だった大橋容疑者が金容疑者の指示を受け、決算書をもとに震災前の売り上げを数倍水増しした申請書を作成していたという。

 捜査関係者によると、黒田容疑者は健康ランドの元秘書で、金容疑者の依頼を受け、他にも複数の企業に不正請求を持ちかけていたという。(小手川太朗)


 黒田裕子容疑者は逮捕前に複数回、朝日新聞の取材に応じ、詐欺事件への関与を否定した。主なやり取りは次の通り。

 ――詐欺だという認識はあったのか。

 知らない知らない。全く知らない。

 ――賠償金請求の始まりは。

 震災後、金さん(容疑者)から、「知り合いに詳しい税理士がいるから、賠償金請求を代行してあげる」と言われました。なんの疑いもなく決算書を金さんに手渡しました。

 ――金容疑者に複数の企業を紹介したのか。

 知り合いで、お金に困っている社長さんをいくつか紹介しました。

 ――「サンホーム」元社長の吉田浩二被告=詐欺罪で起訴=も紹介したのか

 間違いありません。現金や決算書の受け渡しを仲介しました。

 ――仲介をして、報酬はもらったのか。

 一銭も受け取っていません。

 ――金被容疑者との関わりは。

 金さんのお父さんが社長だった頃から東洋グループで秘書をしていました。震災の3年ほど前に退職しました。