幻の「UFO基地」 廃虚の夜空に浮かぶ、あの光は… 北海道・平取
毎日新聞 2019年6月8日 18時19分(最終更新 6月8日 20時38分)
https://mainichi.jp/articles/20190608/k00/00m/040/178000c

 ピラミッドの一部のような異様な建造物のはるか上空を、鮮やかな光が満天の星とは違う動きでゆっくりと通過した。
北海道平取町のハヨピラ自然公園跡は55年前、民間団体によってUFO基地として建設され、今も廃虚が雑木林の間から姿を見せる。
夜空の一筋の光(写真は30秒間露光)の正体は国際宇宙ステーション(ISS)だが、廃虚の上空にあるとUFOを連想させるから不思議だ。

数奇な運命をたどった。
1964年から約2年かけ、UFO研究団体「宇宙友好協会」がピラミッド型神殿や壁画などを建設。
周辺の住民によると、当初はUFOブームで多くの観光客が訪れ、土産物店も出た。
しかし、ブームが消えて73年に団体が解散し、その後閉鎖された。

 91年、荒れ放題となっていた施設と土地が町に寄贈された。
夜間ライトアップやUFOのようなレーザー光線演出の案もあったが、施設の塗装や草木伐採で94年に
「自然公園」として生まれ変わったものの、2003年8月の台風後に崩落の危険性が指摘され、再度閉鎖に。
今も立ち入り禁止のままだ。

 アイヌの言い伝えでは、公園跡地周辺でオキクルミカムイと呼ばれる神様がシンタという乗り物から降臨し、生活の知恵を教えたとされる。
平取町の担当者は今後の対応について「もとのアイヌ伝承を重視して施設を撤去したり、施設を観光に生かしたりと案はあるが、いずれも費用がかかる」と話す。

◇ 廃虚となった「UFO基地」のハヨピラ自然公園跡。上空の光跡は左から右に進む国際宇宙ステーション=北海道平取町で2019年5月27日、貝塚太一撮影(30秒間露光)
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◇沙流川歴史館に常設展示されている建設当時のUFO基地の模型=北海道平取町で2019年5月27日、貝塚太一撮影
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◇ ハヨピラ自然公園跡のゲート。崩落の危険性があり内部への進入は禁止されている=北海道平取町で2019年5月27日、貝塚太一撮影
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◇ 日常の道路や街灯などの光景の中で、山中で異質さを見せるUFO基地跡=北海道平取町で2019年5月27日、貝塚太一撮影
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