真相究明、壁高く=覚せい剤との接点、解明急ぐ−資産家死亡から1年・和歌山県警

 自身の女性遍歴をつづった著書のタイトルから「紀州のドン・ファン」と
して知られた和歌山県田辺市の会社経営野崎幸助さん=当時(77)=の
急死から、1年余りが経過した。県警は覚せい剤を摂取させられた可能性も
あるとみて殺人容疑で捜査を続けるが、野崎さんと違法薬物との接点は
浮かんでいない。県警幹部は「真相究明を急ぐ」と決意を新たにしている。

 野崎さんは昨年5月24日午後10時半ごろ、自宅2階の寝室で意識を
失っているのを妻が見つけ、その後死亡が確認された。行政解剖で体内から
致死量を超える覚せい剤が検出されたが、県警捜査1課は、薬物常習の形跡が
ないことから、何者かに摂取させられた可能性を視野に捜査している。

 捜査関係者によると、野崎さんの交遊関係は広く、これまでに親族や従業員ら
関係者約1000人から事情を聴取。「死亡直前にビールを飲んでいた」との
妻の証言から、自宅などから押収したビールの空き瓶約2000本の鑑定も
進める。ただ、これまでに覚せい剤混入の跡はなく、摂取の経緯は明らかに
なっていない。

 野崎さんは地元で酒類販売会社などを経営していた資産家。周辺に大きな
トラブルは見当たらず、当時、外部から第三者が自宅に侵入した形跡も
なかったという。

 県警は事件、事故の両面を視野に、数十人態勢を維持しており、捜査関係者は
「厳しい捜査が続くが、なんとか結果を出したい」と話している。


時事通信社(2019年06月09日07時26分)
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