https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-11/PSXUM76JIJV001
→パウエル議長もカーニー総裁も警戒、規制の難しさ認める
→高まる米利下げ期待、高リスクさらに助長する可能性も

 1兆3000億ドル(約141兆円)規模のレバレッジ融資市場に潜むリスクについて、欧米の規制当局が発する警告は日に日に強くなっている。
重い債務を抱える企業や、ローン担保証券 (CLO)の基準劣化を指摘しながら、これらの当局の多くが
2008年の危機が再来する可能性は低いと言明するのに慎重なのは、こうした債権を保有するのが主に管轄銀行ではなく、国外の機関だからだ。

 レバレッジ融資のおよそ85%はノンバンクが保有しているため、規制当局にとってはリスクの所在を突き止めにくく、
景気悪化の場合どのように金融システムに波及するのか把握が難しい。
米金融当局をはじめとする監督機関に、問題を把握し、拡大を抑制する適切な手段が備わっているのかどうか、疑問の声は高まっている。

「鋭い洞察力とデータ、手段を備えた優れた政策当局者でさえ、住宅危機の規模と深刻さには意表を突かれたことを、忘れないように常々心掛けている」と
ポトマック・リバー・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、マーク・スピンデル氏は話す。
「レバレッジ融資や企業の借り入れは住宅とは異なるが、影響力は思っている以上に大きいかもしれない。
CLOやレバレッジ融資、あるいは私募債などが成長して当たり前と思ってはならない」と述べた。

・レバレッジドローン市場は2012年以降に2倍余りに拡大
 ・CLOには金利が9%近いものも
・長年続いている超低金利政策や、投資家のリスク志向、金融危機後のシャドーレンディングの台頭、トランプ政権下での規制緩和などが背景
・米利下げ期待が高まる中、米金融当局は抑制しようとする高リスク貸し出しをむしろ助長しかねない状況
 ・米当局の担当者はコメントを控えた

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長、イングランド銀行(BOE)カーニー総裁は最近、レバレッジドローンの活況について、
サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機前の住宅ローン産業と比較して発言している。
両者とも金融システムを崩壊させるほど大きなリスクではないとしつつ、買い手の特定や、損失吸収ができるのか判断が難しいとして、
規制する側としては分からないことが多いと認めている。