労働者が残業代などの未払い賃金を企業にさかのぼって請求できる期間について、厚生労働省の有識者検討会は13日、現行の2年から延長すべきだとの意見をまとめた。来年4月から、関連する民法の請求期限が原則5年に統一されることを踏まえた。厚労省は夏以降、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で、5年を軸に延長年数などを議論する。

民法は債権を請求できなくなる期限(消滅時効)を、一般的な債権で原則10年としている。例外として、飲食店の未払い代金など日常的に生じる一部債権は1〜3年で、賃金請求権は1年。一方、労働基準法は労働者保護の観点から、特例で「給料日から2年」(退職手当は5年)と定めている。

2017年に成立した改正民法は来年4月に施行され、債権の消滅時効は賃金を含め原則5年に統一される。労基法上の期限が逆に短くなってしまうため、検討会では労働者の権利を拡充するためにも、見直しが必要との意見が大勢を占めた。

厚労省によると、残業代未払いで17年度に全国の労働基準監督署が是正指導した企業は1870社、割増賃金の支払総額は約446億円と過去最多を記録した。過去10年は120億円前後で推移していたが、働き方改革への意識の高まりを背景に急増したとみられる。

ソース/毎日新聞社
https://mainichi.jp/articles/20190613/k00/00m/040/230000c