――今の世の中、正義を振りかざす人が増えているが。

片田氏:誹謗中傷が溢れるネットでは、特にそうですね。特に若者がネット上で正義を振りかざすのには、相手をへこませる支配欲求、
そして、有名人や政治家を認めたくないという、裏を返せば羨望の表れでもあります。ほんの小さな悪事であっても、まるで鬼の首でも取ったかのように
騒ぎ立て、意見が違えば徹底的に論破して人間性まで否定する。まるで自分はどんな些細な「悪」も侵したことがないとでもいうように。
それをなぜ行うかといえば、相手をボコボコにすることが快感なのです。

――さすがに爺ちゃんはネット民とは違うのだろうが……。

片田氏:いえ、最近はテレビも、こうした意見に賛同の声があるとか、ネットの動きに敏感に反応しますからね。“テレビの番人”でもある高齢者は、
意外と世の中の意見に反応するものです。

  
――今後、正義を振りかざす若者が高齢化する頃には、同じような爺ちゃんが頻出したりするのだろうか。

片田氏:彼らが定年を迎える頃には、もっとひどいことになっているかもしれません。年金の受給額は今より少なくなっていますし、
そもそも就職氷河期を経験しており、自分の不遇は社会のせいと考える被害者意識、羨望意識が強い傾向がありますから。自分の悪いところ認めずに、
何でも他人のせいにして正義を振りかざす人が増える、いやな世の中になりつつあります。