19日午後1時半頃、神奈川県愛川町田代のアパートで、窃盗罪などで実刑判決が確定した無職小林誠・元被告(43)が、刑務所に収容するため訪れた横浜地検と県警の職員に対して刃物を振り回し、車で逃走した。刃物を持ったまま逃げているとみられ、県警などが行方を追っている。




 同地検によると、小林元被告は、窃盗、傷害罪、覚醒剤取締法違反などで昨年9月、横浜地裁小田原支部で懲役3年8月の実刑判決を受けた。控訴後に保釈されたが、東京高裁で控訴が棄却され、今年2月8日に刑が確定した。高裁判決の言い渡しの際には出廷していなかった。

 その後、東京高検に出頭せず、書面などの呼び出しにも応じなかったため、地検職員らが何度か自宅を訪ねたが、会えなかったという。

 19日は、事前の通告なしに地検の事務官4人と、警察官2人の計6人が訪問。県警によると、小林元被告は室内で話をした後、外で包丁のような刃物を振り回し、アパート近くに止めてあった普段使っている相模ナンバーの黒色のホンダ「フィット」で逃走した。

 小林元被告は身長1メートル71の小太りで、白い帽子と白っぽいTシャツ、ハーフパンツ姿だった。

 捜査関係者によると、小林元被告が乗った車は逃走から約3時間後、相模原市内の国道16号を走行しているのが確認された。その約1時間後には、同市内の大型量販店付近にいたという。

 近くの横浜町田インターチェンジから東名高速道路に入ったとみられ、午後6時過ぎには、同県大和市内の東名高速下り線を走行していたことが分かった。隣接する同県海老名市付近で走行ルートが分からなくなったため、県警などは海老名ジャンクションで圏央道など、他の路線に移った可能性もあるとみている。

 愛川町は小林元被告の逃走を受け、防災行政無線で注意を呼び掛けた。厚木署は20日朝の登校時間帯に、同町や厚木市の小学校の通学路などに署員を配置し、警戒するという。

 同地検の竹内寛志・次席検事は「このような事案を発生させ、大変申し訳ない」と謝罪。発表が逃走から約3時間半後になったことについては「遅くなったことも申し訳ない」と述べた。

 同地検では2014年にも、川崎支部で弁護士と接見中だった男に逃走(2日後に身柄確保)されるミスがあった。

6月20日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190619-OYT1T50273/
https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190619-OYT1I50107-1.jpg