https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190618-00010000-teikokudb-bus_all
 帝国データバンクが実施した調査によると、2019年5月の景気DIは前月比1.4ポイント減の45.4となり、6カ月連続で悪化した。
5月の国内景気は、米中貿易摩擦の深刻化により企業マインドが冷え込み、設備投資を先送りする動きがみられた。
加えて、大型連休にともなう4月中の前倒し発注の影響で5月の受注が減少したほか、稼働日数の減少が企業活動の停滞を招いた。
連休後には一部で消費が減退したうえ、人手不足や燃料価格の上昇も負担になった。
こうした状況が背景となり、景気DIは、東日本大震災が発生した2011年3月以来8年2カ月ぶりに、全10業界・全3規模・全10地域がいずれも悪化した。

■全10業界が悪化、大型連休による悪影響目立つ
業界別にみると、1年1カ月ぶりに10業界すべてが悪化した。
なかでも『製造』(42.9、前月比1.9ポイント減)の悪化が大きい。
工作機械での中国向け輸出の減少に加え、大型連休前に発注が前倒しされたことで、機械製造関連で受注量が減少した。
また、建設工事の進捗遅れにより建築用金属製品では出荷量が減少したほか、輸送費などコスト負担の増加も響いた。
さらに、輸出減少を背景に包装材向けの受注が減少しプラスチック製造が悪化するなど、多くのマイナス要因が重なり、
『製造』は12業種中11業種が悪化した。

また、地域別にみると、東京23区や大阪市など、大都市圏の落ち込みが全体を下押しする要因となり、4カ月ぶりに10地域すべてが悪化した。
国内景気は、米中貿易摩擦の激化や大型連休にともなう悪影響の表面化などが重なり、後退局面入りした可能性がある。

■消費税率引き上げなど、今後は不透明感が一層強まる
 今後は消費税率引き上げ前の駆け込み需要が表れるほか、省力化・合理化需要を背景に設備投資は底堅く推移し、
東京五輪や公共投資も景気を下支えすると見込まれる。
しかしながら一方で、消費税率引き上げ後には個人消費が一時的に大きく落ち込むほか、中国などアジア向け輸出の減少がマイナスに働くと予想される。
また、引き続き人手不足や原材料価格の上昇によるコスト負担増が収益を圧迫するであろう。
海外動向においては、米中貿易摩擦および中国経済の動向が懸念材料であり、日米通商交渉を含めて注視する必要がある。

今後の国内景気は、消費税率引き上げによる消費減退の懸念に加えて、米中貿易摩擦の行方など、不透明感が一層強まっている。