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2019.6.21
貧困ビジネス規制の名のもとで進む、ほぼ一億総「住宅弱者化」
みわよしこ 

 現在は、検討内容を実現するための省令案が公開され、パブリックコメント(パブコメ)が募集されているところだ。締め切りは7月6日となっている。省令案の内容をあえてひとことで言うと、「住宅弱者の居住支援のハードルが、とてつもなく高くなる」というものだ。

 ハードルが高くなることの例として最大のものは、入所者に対する管理と管理体制を求められるということだ。管理を行うのなら、間違いなく「住居」ではなく、「施設」そのものだ。また、小規模な事業者に対しては、「体力がないので、そこまではやれない」ということにもなりかねない。小規模かつ当事者ニーズに沿った事業者が撤退を強いられると、「貧困ビジネス」を行うこともできる大規模事業者だけが残るという構図になる。今回の省令案の目玉の1つは貧困ビジネス規制でもあるのだが、規制を受けても、それらの事業者が撤退を強いられる可能性は少ない。

貧困ビジネス規制はいいが
対象範囲が広すぎるのでは
 稲葉剛さん(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事・立教大学特任准教授)は、2014年に設立した個室シェルター「つくろいハウス」で、100人を超える路上生活者やネットカフェ難民を受け入れ、アパートでの安定した居住へのステップを提供してきた。稲葉さんは、次のように語る。

「省令案が出てきて、驚いている……というのが正直なところです。貧困ビジネス規制には賛成です。そこは面積や設備などの基準が設けられました。でも、これまで無料低額宿泊所としての届け出を必要としなかった事業も対象にされ、しかも範囲が非常に広いんです」

 範囲の広さの一例は、アパートの大家さんが住宅弱者を拒まなかった結果として、入居者の過半数が生活保護受給者となった場合にも、対象となり得るという点に見ることができる。「通常の賃貸借契約」である場合は一応は除外されるのだが、そうすると、日常的な支援はあくまでも大家さんがボランティアとして行うこととなってしまう。
(リンク先に続きあり)