サウジ記者殺害、「皇太子関与の証拠あり」 国連報告者、捜査を要請
NewSphere Jun 25 2019
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 サウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害事件を調査していた国連の特別報告者は6月19日、
サウジのムハンマド皇太子が関与したとする「信頼に足る証拠」があるとして、皇太子の個人資産を凍結する必要のあることを示唆した。
 
 調査を受け、欧米諸国ではサウジ皇太子に対する厳しい見方が広がるとみられる。
これほどの殺害事件を起こすには、権力を持つ皇太子からの情報と関与が必要だったという非難の声が上がっている。
 
 いまも父親であるサルマン国王からの支持を受ける33歳の皇太子は関与を完全に否定しており、サウジでは、犯行は同国の独立系特殊部隊が実行したと糾弾している。
昨年10月2日の事件以降、国際的な非難の声が高まっているが、トランプ大統領はアメリカ・サウジの同盟関係を擁護してきた。

 国連の特別報告者であるカラマール氏が発表した101ページの報告書では、カショギ氏殺害にサウジが国として関与していたとしている。

 ワシントンポスト紙に皇太子を批判する記事を寄稿したカショギ氏は、
トルコ・イスタンブールにあるサウジ領事館でサウジの特殊部隊によって殺害され、遺体を切断されたとみられる。
同氏の遺体はまだ見つかっていない。サウジ国内にいる活動家や反体制派に対する取り締まりを受け、カショギ氏は自らの意志で国外生活を送っていた。

 調査の結果、「殺害には信頼に足る証拠があり、サウジ皇太子を含む国家上層部の責任をさらに調査する必要があると決論づけた」とカラマール氏は語る。

「トルコでの犯罪現場は跡形もなく、しかも科学捜査的に抹消されたことを示す、信頼に足る証拠もある」という。
報告書では、「サウジの調査は公平な方法で行われておらず、公正を阻害する結果になった可能性がある」ことを示唆している。
さらに、「皇太子とその個人資産への対処がなされない理由が不明」である上、
「以前は犯罪が確定する前であっても、制裁措置が科されていた」という説明がなされている。

 トルコ当局から提供された音声をもとにまとめられた、背筋の凍るような分刻みの詳しい情報も含まれており、
そこにはカショギ氏の遺体を切断するために使用されたとみられるのこぎり音もあった。

 報告書では、サウジ皇太子やサウード・カハタニ前王室顧問が殺害に直接関与したと考えるのは「極端な反応」であるとしている。両者ともに関与を否定している。

 この件についてカラマール氏は「犯罪については、いかなる結論も出していない」とした上で、
「唯一の結論として言えるのは、犯罪の域に達しているかどうかについて適切な関係機関が追加捜査をすることに意味があるほど、
信頼に足る証拠があることだ」と述べている。
同氏は、単独の人物を犯人と決めつけることにこだわっていない。
報告書の中で、「正義や責任の所在を探ることは、『明白な証拠』やそれを持っている人物を見つけることだけでない」としている。

 カラマール氏が主に注力しているのは、権威ある地位を履行しない、もしくは濫用したとみられる人物を特定することである。
報告書では15人の容疑者を実名で挙げているが、うち11人はサウジ国内で裁判を受けている。
そのうち5人は、サウジの国内法により刑が執行される可能性がある。
サウジでは被告人の氏名を明らかにしておらず、裁判での審理の多くは非公開となっている。

 国連の調査報告書では、11人の容疑者の裁判について、実質的にも手続き上も所定の基準を満たしていないことを理由として裁判の延期を求めている。
カラマール氏によると、裁判は非公開で行われているほか、カショギ氏殺害の計画・実行に関与したことが特定されている人物のうち少なくとも1人が起訴されていない。

 公判には複数の外交官の参加が認められたものの、見解を示すことを禁じられていると同氏は言う。

 さらに、カショギ氏の子息には補償金が支払われたとの情報を入手しているが、その金額が「国際的な人権法に即した補償に見合うかどうかは疑問」としている。

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