海外での原発建設から日本企業は事実上撤退--電力株の投資判断
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2019/6/25(火) 10:30
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 本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。

 今日のポイント

 海外での原発建設から日本企業は事実上撤退、中国・ロシアが積極推進
 電力9社に投資するのはリスクが高い
 電力株の投資判断
 2020年「発送電分離」後の「送配電会社」に注目

 これら4点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

 海外での原発建設から日本企業は事実上撤退、中国・ロシアが積極推進

 日立製作所(6501)が6月19日に開催した株主総会では、英国で進めてきた原発建設事業の凍結について、株主からさまざまな質問が出た。
 東原社長は「当面は国内にある原発の再稼動や廃炉事業を進める」と回答した。

 英国での原発事業はリスクが高い割りに英国政府から十分なバックアップが得られる見込みが立たないことから、「経済合理性の実現が難しいため凍結の判断に至った」と説明された。
 海外での原発事業から事実上撤退した状態が続く。
 東芝が米国の原発建設事業で巨額の損失を出して一時債務超過に陥ったことが反面教師となり、日本企業は原発事業リスクを縮小する方向に舵を切っている。

 三菱重工も海外での原発事業は縮小しつつある。
 日本政府と共同でトルコでの原発計画を進めてきたが、安全対策にかかるコストが大幅に膨らむのに対応した請負金額の引き上げができないため、
 計画を断念する方針をトルコ政府に伝えている。

 原発建設には長い年月がかかる。
 建設を請け負い、建設に着手してから完工する前に、安全対策コストがどんどん拡大して巨額の赤字を計上するリスクが大きくなっている。
 そのリスクを民間企業だけで追い切れなくなりつつある。

 こうした環境で海外での原発建設を積極化できるのは、中国とロシアの原発企業だけとなっている。
 実際、日本企業が実質撤退した後、海外での原発建設は中ロ企業の独壇場となっている。

 中国の政策助言機関である中国人民政治協商会議が19日に開催した会議では、「今後10年間に(中国企業が)海外30カ所に原子力発電所を建設することが可能」と強気の意見が出ている。