0001砂漠のマスカレード ★
2019/07/01(月) 11:23:54.62ID:5NZN2PJG92018年の日本におけるストリーミングサービスの売上金額は348億6600万円(日本レコード協会調べ)。
2013年の実に11倍以上と、急成長が続く。PwCによれば、2022年の日本のストリーミングサービスの市場規模は約19億ドル(約2030億円)で、年平均26%もの成長が予想される。
有望市場を狙い、日本ではストリーミングサービスを提供する事業者が乱立。Apple Musicを筆頭に、LINE MUSIC、You Tube Music、AWA(アワ)、Spotify、RecMusic(旧レコチョクBest)、KKBOXなどがしのぎを削る。
今、サービス各社から聞こえてくるのは歎きの声だ。「差別化できない」「ユーザーに認知されない」、そして「儲からない」。
詳しくは後述するが、LINE MUSIC、AWAなど主要各社はここ数年、数十億円規模の巨額赤字を出している。それでも各社に撤退する気配はない。いったい何が起きているのか。
日本の音楽配信市場は「異常」
「(日本でのシェアは)1位がApple Musicで2位はLINE MUSIC。3位より下はどんぐりの背比べだ」。音楽配信に詳しい作家の榎本幹朗氏はそう指摘する。
サービス各社は5000万曲など、提供曲数の多さを誇るが、実は楽曲ラインナップ自体はさほど変わらない。「横並び」の背景にあるのは、楽曲を“提供する側の事情”だ。
売れた分だけレコード会社の収益に反映されるCDと違い、ストリーミング配信は少額の利益を継続的に獲得していく積み上げ式のビジネス
「例えば米津玄師のような大物アーティストはCDが売れるので、わざわざ利幅の薄いストリーミング配信を選ぶ必要がない」(榎本氏)。
日本は世界的に見てもCDの売り上げシェアが大きい市場。レコード会社にしても、そのCD売上が配信に食われることを考えれば、気軽には楽曲提供できない。
こうして現状、日本のストリーミングサービスでは「最新曲から過去のヒット曲まで、いわば”虫食い”のように楽曲があちこち欠けている異常事態」(榎本氏)。
B’zやジャニーズ系アーティストなども現状、各社のサービスに含まれていない。
一方、もしアーティストやレコード会社がストリーミングサービスへの楽曲提供を決断するなら、複数社に楽曲を提供したほうが合理的。
なぜならユーザーへのリーチがそのぶん広がるからだ。例えば、5月14日から小田和正の全楽曲のストリーミング配信が始まったが、主要な配信事業主がずらりと名を連ねていた。こうして「横並び」は広がっていく。
もちろんサービス各社が差別化のために、特定のアーティストの楽曲を「独占配信」することは可能だ。
実際、6月16日にApple Musicが安室奈美恵の全楽曲の独占配信を開始したばかり。ただ、そうした独占契約には莫大な費用がかかり、手が出しにくい。
「熱烈なファンたちはすでに好きなアーティストのCDを持っていることが多く、(独占配信は)新たにユーザーを引き寄せる施策として割に合わない」(業界関係者)。
ストリーミングサービスは分配制のビジネス。再生回数に応じて配信事業主があげた利益を、各レコード会社で分け合うモデルとなっている。
その際、分配の指標となるのは再生回数だ。
東洋大学の安藤和宏教授が、各配信事業主の資料に基づいて計算したところ、配信事業主が得られる利益は売上のおよそ28.8%。
原価として計上される売上の6割強については、レーベルに対して支払う許諾料(40.5%)や著作権(7.7%)、原盤印税(15%)などが含まれる。
ところが配信事業主が得る3割弱の利益を、認知度向上のためにかかる多額のプロモーション費用が削り取っていく。
新規ユーザーを課金へ誘導するために設けられる、無料体験期間にかかる費用もばかにならない。
ユーザーにとってはタダだが、楽曲を配信していることに変わりはなく、サービス提供各社は許諾料をレコード会社に支払わなければならない。
差別化しにくいサービスに、利幅の薄いビジネスモデル、そして新規顧客獲得のために削れない多額のプロモーション費用――。「さながらチキンレース」とある業界関係者は嘆く。
https://toyokeizai.net/articles/-/289073
2019/06/27 6:00