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豪雨で行方不明の男性、新見で捜索 1年待ち続ける妻が心境語る
2019年07月06日 22時16分 更新

 西日本豪雨により、岡山県内では依然3人が行方不明となっている。そのうちの一人、新見市、室広明さん=当時(69)=の捜索が6日、自宅近くの佐伏川で行われた。「毎日、何か連絡があるのではとの思いだった」。妻・信子さん(70)が山陽新聞社の取材に応じ、夫を待ち続けた1年の心境を語った。

 「元気な人だったから、ある日突然、急に消えたのが信じられなかった」。鍾乳洞・満奇洞の管理人だった室さんは、昨年7月6日朝、雨脚が弱まったのを見て外出した。「散歩に出てくる」が最後の言葉だった。

 帰ってこない夫を、信子さんは息子と共に連日捜し続けた。極寒の川の中を歩き、高梁市の辺りまで下ったこともあった。

 責任感が強く、仕事熱心だった。豪雨による土砂で洞の駐車場が埋もれかけていたため、いなくなった朝も「土のう袋を持っていく」と話していた。

 不明となって数日後、川から室さんの物とみられるズボンが見つかった。現場に花を手向けたかったが、「死を認めたくなくて」足が動かなかった。

 1年が経過し、区切りをつけなければいけないとの思いが強くなった。「ちゃんと供養してあげないと、主人も浮かばれない。お墓を作ってあげたい」。七夕は「どこかで成仏していて」との願い事をつるすつもりだ。

 この日の捜索では、新見署員約20人が夕方近くまで川底や川岸などを調べたが、手掛かりは得られなかった。姿を見せた信子さんは感謝を込めて、用意したおにぎりで署員の労をねぎらった。