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音楽教室に「公衆」いる?JASRAC訴訟、三つの争点
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赤田康和
2019年7月7日19時19分

 音楽教室での講師や生徒の演奏に、著作権法が定める「演奏権」は及ぶのか――。日本音楽著作権協会(JASRAC)とヤマハなどの音楽教室などが争っている訴訟で9日、証人尋問がある。両者の主張は真っ向から対立している。三つの争点について解説する。

 著作権法22条は、楽曲を「公衆に直接聞かせることを目的として演奏する権利」を作曲家・作詞家ら著作者が専有すると定める。この権利が「演奏権」だ。
 典型的なケースが、音楽のコンサートだ。著作権が消滅した古典の曲以外は、歌手が歌ったり楽団が演奏したりする曲の演奏権料をJASRACなどを通じて、作曲家らに払う義務がコンサートの事業者にはある。

 JASRACは2017年2月、この演奏権を根拠にして、音楽教室から著作権料を徴収する方針を発表した。教室側は「教室での演奏は、コンサートと大きく異なる。楽器の指導・練習のための演奏であり、演奏権は及ばない」と主張。「JASRACに著作権を請求する権利がないことの確認」を求めて東京地裁に提訴した。

教室で演奏、「鑑賞目的」か

 争点は主に3点だ。@楽曲を利用している主体は誰かA教室の生徒は「公衆」といえるのかB教室での演奏は生徒に楽曲を聞かせることが目的といえるのか――。
 まず@について、JASRAC…
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