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多くのファンに惜しまれながら2019年3月にクローズした、とんかつの名店「成蔵」が場所を変えて7月にオープン。
とんかつ愛好家で知られるマッキー牧元氏に新生「成蔵」の魅力を聞いた。

レジェンドとんかつ店の閉店

2010年8月、高田馬場に彗星の如く現れたとんかつの名店「成蔵」。
食べログでの口コミは1,000を超え、2017年には「The Tabelog Award」でBronzeを受賞。
翌年にはSilverを受賞し、「食べログ とんかつ 百名店」にも2年連続で選出されている。
食べログのとんかつランキングでも長きにわたり1位に君臨し続けていたモンスター級の凄店だ。

日本を代表するとんかつの名店が2019年3月に閉店を発表した際には、とんかつラバーの間に衝撃が走った。
全国から閉店を惜しむとんかつ好きが押し寄せ、最終日まで、連日長蛇の列ができ、深夜から並ぶ猛者もいたほどで、日本のとんかつ史に残る出来事となった。

そんなとんかつ界のレジェンドが2019年7月8日、東京・南阿佐ケ谷に華麗に復活を遂げた。

新店舗では一体どんなとんかつが食べられるのか? とんかつ好きと言えばこの方、マッキー牧元さん(以下マッキーさん)が新生「成蔵」を当日レビューしているので紹介しよう。

マッキー牧元

(株)味の手帖 取締役編集顧問 タヘ?アルキスト。
立ち食いそは?から割烹、フレンチからエスニック、スイーツに居酒屋まて?、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演。
山本益博、河田剛と始めたFacebook上でのとんかつ評論「東京とんかつ会議」が好評を博し、書籍化されるほどのとんかつ愛好家。

また「成蔵」に出会えたことが、なにより嬉しい

オープン当日に訪れたマッキーさんのレビュー(Facebookに掲載)を、許可をいただきここに掲載する。マッキーさん流の衣活用術など、ぜひ参考にしてほしい。

今日、新たなトンカツ屋が開店した。

いや、正確に言えば“新たな”ではない。以前やっていた店を、弟子に譲り、自分は新たな店を阿佐ヶ谷に開いたのである。
場所は、周りに飲食店などない閑静な住宅街にあって、ひっそりと看板を出す。ご主人は、以前より広々とした厨房で、気持ちよさそうに働かれていた。

変わらず、どこにもないとんかつである。見事な、都内随一のとんかつである。

糖分を抑えた特注のパン粉を、優しく抱きしめるようにつけ、低温の油からじっくり温度を上げて肉を揚げる。
そのやり方は変わらないが、パン粉のキメが以前より微妙に小さくなったことと、それに伴って衣の量が、微かに少なくなっている。それが豚肉との美しい均整美を生み出す。

低温から揚げられているのに、衣はまったく油を感じさせず、サクサクと軽やかな音を立てながら、香ばしさを漂わす。
歯が肉にめり込むと、ほのかに甘い肉汁が滲み出て口に広がり、目を閉じる。

笑う。

これぞとんかつの醍醐味である。脂は口どけよく、噛めばするすると溶けてしまう。口の中はいつまでも、春の日だまりのような、穏やかな甘い香りが残って、うっとりとさせる。
こんな優しいとんかつは、なにもつけないか、塩だけがいい。

都度切られるキャベツは、細く、甘く、みずみずしく、キャベツへの愛に満ちている。
このキャベツに、剥がれた衣の破片を混ぜ、クルトン風にして食べても面白い。根菜の豚汁も申し分なく、沢庵、大根、キュウリ、キャベツという布陣のお新香もご飯も上等。
当然ながら皿に落ちた衣をかき集め、最後はご飯に塩とともにかけて衣バラご飯にした。

ああ、また「成蔵」に出会えたことが、なにより嬉しい。

https://news.livedoor.com/article/detail/16746506/
2019年7月9日 14時40分 食べログマガジン