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アサヒ、一時9%安 豪事業買収、希薄化懸念で
2019年7月22日 20:30


22日の東京株式市場でアサヒグループホールディングス株が急落し、一時前週末比449円(9%)安の4589円と、2カ月ぶりの安値をつけた。19日にビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブからオーストラリア事業を約1.2兆円で買収することで合意したと発表した。普通株式による資金調達計画も公表し、株式の希薄化を懸念する売りが出た。

終値は9%安の4591円。下落率は8年ぶりの大きさになった。事業利益(国際会計基準)に占める海外の比率は買収で4割から5割(単純合計)に高まる。国内ビール市場の縮小が続く中、海外に打って出る戦略を評価する声は多い。

一方、アサヒは買収に合わせて、自己株式の活用を含む普通株式で最大2000億円の調達を予定する。株式の希薄化率は7〜8%との見方が多く、警戒した売りが出た。格付け会社が相次いで格下げ方向での見直しを発表したことも重荷になった。

今後の焦点は買収価格に見合うリターンを出せるか。豪州ではアサヒが力を入れる高級品が伸びているものの市場全体は横ばい。19年の見通しをもとにすると、買収価格は対象事業が稼ぐキャッシュフローの14.5倍。「買収対象の利益成長は鈍化しており、割高感が強い」(SMBC日興証券の高木直実シニアアナリスト)との指摘がある。