米司法省、スプリント・Tモバイル合併を承認

【ニューヨーク=中山修志】米司法省は26日、ソフトバンクグループ傘下の米携帯通信4位スプリントと、同3位TモバイルUSの合併を承認すると発表した。
 プリペイド式携帯事業の一部を売却することなどが条件となる。
 合併会社は契約件数で首位ベライゾン・コミュニケーションズと2位AT&Tに迫る。
 一方、ソフトバンクGは経営に行き詰まっていたスプリントを子会社から持ち分法適用会社にする。

 スプリントとTモバイルは2018年4月に合併計画を発表した。
 次世代通信規格「5G」の競争に向け、規模拡大によって上位2社に対抗する戦略を打ち出した。

 米連邦通信委員会(FCC)はプリペイド式携帯事業の分離や農村部での通信網の整備などを条件に合併を認める意向を表明。
 もうひとつの規制当局である司法省が、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)の観点から審査していた。
 司法省との条件により両社はプリペイド式携帯事業と周波数帯の一部を衛星テレビ大手のディッシュ・ネットワークに売却し、同社が第4の事業者として米携帯市場に参入する。

 合併手続きが完了すればソフトバンクGの出資比率は84%から27%に下がり、持ち分法適用会社になる。
 13年に米国通信市場に参入したが、今後は投資先の1つにとどめる。
 通信子会社ソフトバンクの株式上場とスプリントの切り離しで、投資会社としての体制が整う。

 ニューヨーク州など14の自治体は、消費者の不利益を主張して合併差し止めを求めていた。
 26日時点で5州が司法省の承認条件を認めたが、残る自治体が条件を認めるかは不透明だ。
 州の反対を押し切って合併手続きを進めることにはリスクが残る。

日本経済新聞 2019/7/27 0:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47867680X20C19A7000000