https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190729/k10012013371000.html

無給医問題「給与払うべき」医学界重鎮「若い医師いなくなる」
2019年7月29日 23時14分医療

無給医の問題が明らかになってから、医学界の重鎮が初めて取材に応じました。全国の医学部長の集まりで委員長を務める嘉山孝正氏は「大学病院の経営が厳しいことは事実だが、労働に応じた対価を得るのは人として基本的な権利だ」と述べて、大学病院は給与の支払いに応じるべきだという考えを明らかにしました。

脳神経外科医の嘉山孝正氏は、国立がん研究センターの理事長などを歴任し、全国の医学部長の集まりで委員長を務めるなど医学界に大きな影響力を持っています。

嘉山氏は、無給医の調査結果が公表されてから初めてNHKのテレビ取材に応じました。

国の調査結果については「大学病院の診療報酬は公定価格で定められており、各病院の経営が厳しいという事情はある。しかし、自己研さんなどを理由に無給にするというのは、大学が診療報酬を得ている以上認められない。労働に応じた対価を得るのは人として基本的な権利だ。私自身も30代まで月5万円しか給与がなかったが、当時と社会状況は大きく変わっている。精神論だけで乗り切ることは限界に達している。このままでは若い医師が第一線からいなくなってしまい、最終的に患者に影響を与えてしまうのではないか」と危機感を述べ、大学病院は給与の支払いに応じるべきだという考えを明らかにしました。

自身が勤務する山形大学医学部付属病院では、院内のコストカットを進めながら収益力を向上させることで人件費を捻出したということです。

嘉山氏は、大学病院がこうした自助努力をすることを前提としたうえで「高度な医療については診療報酬を引き上げるなど、今の診療体制を維持するために国民全体で議論することが必要だ。医療の構造が現実に見合うように改革すべきだ」と述べて、国民の納得を得ながら、医療の財源についても議論するべきだという考えを示しました。

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