同和問題について講演する馬場周一郎さん=高知市内で、郡悠介撮影
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 同和問題への理解を深める講演会がこのほど、高知市内で開かれた。約35年間取材してきたジャーナリストの馬場周一郎さんが登壇。大勢の参加者を前に、問題の現状や今後の展望について解説した。

 馬場さんは西日本新聞の元記者。社会部の人権問題取材チームに入り、1981年度には同和問題を主とする連載キャンペーンで新聞協会賞を受賞した。

 講演会で馬場さんは、ある住民の意識調査で「まだ同和問題で差別があるか」との問いに「ある」「ない」よりも「分からない」が多かったことを紹介した。馬場さんは「いじめやパワハラなど誰もが遭遇する可能性が高い問題と異なり、現実として実感しにくい」と解説。問題解決への取り組みが難しい現状を指摘した。

 馬場さんは、今後の見通しについて「いつになるか断言できないが、同和問題は終わると確信している」と強調。ヘイトスピーチなどを課題に挙げ、「法律や条例も必要だが万能ではない。『不毛な差別は許さない』との内面の気持ちが重要」と訴えた。【郡悠介】

毎日新聞 2019年7月29日
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