京都市伏見区桃山町因幡のアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオの放火殺人事件は、1日で発生から2週間を迎えたが、京都府警捜査本部は現在も犠牲者35人の氏名を明らかにしていない。府警はすでに犠牲者全員の身元を特定しているが、公表する内容やタイミングを巡って警察庁などと調整が進まず、方針を決められないのが実情のようだ。

放火による犠牲者数は平成以降で最悪となった今回の事件。ガソリンにより爆発的な火災が起きたことで遺体の損傷は激しく、身元の特定に時間がかかったのは事実だ。府警はすべての遺体についてDNA型鑑定を実施。運転免許証やスマートフォンなど、遺体発見時の所持品と照合する作業も並行して続けた。
 
7月27日に入院先の病院で死亡した1人を除き、犠牲者34人の身元が判明したのは事件6日後。捜査関係者は「遺体の取り違えは絶対に許されない。慎重な作業が求められた」と説明する。
 
一方、府警は、精神的ショックの大きい遺族の心情に配慮し、犠牲者の氏名をいつ、どのような形で公表するか検討を重ねてきた。当初は「身元が判明次第、公表する」との方針を示していたが、京アニ側が7月22日に「(犠牲者の)実名が発表、報道された場合、被害者や遺族のプライバシーが侵害される」として匿名での発表を要請したこともあり、従来なら速やかに行う氏名公表を例外的に控えてきた。
 
この間、府警職員が遺族と面会したり、連絡を取り合ったりして、氏名公表に際しての意向を確認。幹部職員を招集して対応を協議するなどし、了承を得られるなどした一部の犠牲者から順次、氏名を公表する方向で話を進めてきた。
 
しかし、警察庁側との調整は難航し、現在も結論を出せない状態が続く。別の捜査関係者は「府警だけで決められる問題ではないのかもしれないが、方針が二転三転しており、現場は混乱している」と嘆き、「いまだに犠牲者名を公表できない理由が、自分たちには理解できない」と打ち明けた。

■「公式発表待つしか」

事件現場を訪れるファンからは、社員の安否を知りたいと願う声が相次ぎ、SNS上で真偽不明の安否情報が拡散している。作り手一人一人の個性が作品を織りなす京都アニメーションには個々のスタッフにもファンが付いており、確たる情報を求める思いは切実だ。一方、実名公表に際しては遺族の意向に配慮するよう求める意見も多い。
 
「ただただ無事であってほしい。会社に問い合わせる訳にはいかず、公式の発表を待つしかない」。現場を訪れた大津市の男性(26)は声を落とした。同社運営のプロ養成塾を見学したことがあり、社員から掛けられた言葉が重く残る。「鉛筆を持って何がしたいの?」。男性は一度はアニメ業界に就職できたが挫折した。「あの問いかけは、生きる原動力」といい、ツイッターで安否確認を続けている。
 
「無事で大丈夫とのこと!友達の友達の友達に確認とれた」「スマホが焼けて知人に連絡がとれなくなったか?負傷して連絡できないか?無事を信じたい」−。SNSではスタッフの氏名を挙げて安否を伝えたり、生存情報を求めたりする投稿が積み重なる。
 
現場を訪ねたドイツ人男性(32)は「無事な人自身がSNSで発信するケースもあるが、間違った情報が流れているかも。実名で素早く情報を出すのは大切だ」と語った。金沢市の会社員男性(36)は「アニメーターによって絵は変わる。熱心なファンは、個々のシーンを担うスタッフの個人名まで理解して作品を観る。実名発表がないまま、エンドロールに『あの人の名前がない』となれば、臆測を生む。だからこそ、犠牲者の名前を知りたい」と話す。
 
これまでに遺族の中には犠牲者の実名を明らかにして取材に応じる人もいる。ただ、ネット上では「静観しよう」「実名公表は、遺族の意向がなければ全く必要ない」とする意見も目立つ。
 
現場で献花した兵庫県加古川市の会社員男性(26)は「ご遺族や会社の気持ちに任せるしかない。それが追いついていない中で、犠牲者の実名発表がないのは仕方がない。まずは犠牲になった皆さまへ、お悔やみの心を表したい」とうつむいた。

8/1(木) 13:51 京都新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190801-00010001-kyt-l26&;p=1
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