https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48110230S9A800C1000000/

フェイスブックで偽情報拡散、サウジ政府関与か
2019年8月2日 3:19

【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは1日、サウジアラビア政府が背後にいると見られる虚偽コンテンツがあったとして、関連するアカウントやページ300件以上を削除したと発表した。2016年の米大統領選後にSNSを通じた偽情報の拡散が問題になったが、いまなお同様の問題がロシアや中東、欧州などグローバル規模で起きている。

217のアカウントと、144のページなどについて「組織的な虚偽の疑いがある」として削除した。偽アカウントの保有者が地元メディアを装ったページをつくり、ムハンマド皇太子の政策手腕をたたえたりしていたという。一方でイランやカタール、トルコなど敵対国の批判や、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルの信用を損ねるような書き込みをしていたもようだ。

140万ものユーザーがページをフォローしていたほか、10万8000ドル(約1100万円)の広告費がフェイスブックに払われていた。フェイスブックは一連のコンテンツについて、「背後にいるひとたちは身分を伏せているが、我々としてサウジ政府とのつながりを確認した」としている。

フェイスブックは16年の米大統領選で偽コンテンツの拡散を止めなかったとして批判を浴びた。さらに18年春には英コンサルティング会社への情報流出が発覚し、個人情報が偽コンテンツづくりに悪用されていた可能性が指摘されている。

こうした事態を受け、フェイスブックは偽アカウントやページの摘発を強化。今年に入り、イラン、ロシア、ルーマニア、フィリピン、インド、パキスタンなど各地で不正なコンテンツが見つかっている。